
ブラジルの競歩選手カイオ・ボンフィンが、世界陸上競技選手権大会の男子20km競歩で金メダルを獲得した。競技中に結婚指輪を紛失したことに気づき、「妻に怒られないように」と全力でレースに臨んだ結果の優勝だったと明かし、話題を呼んでいる。
『読売新聞』などによると、ボンフィン選手は20日、東京で開催された男子20km競歩で1時間18分35秒のタイムを記録して優勝。昨年のパリ五輪で同種目の銀メダルを獲得しており、今回、念願のメジャー大会で金メダルに輝いた。
競技後のインタビューでボンフィン選手は「結婚指輪をなくしてしまった」と明かした。3km地点を通過した際に指輪がないことに気づいたが、「優勝すれば妻も許してくれるだろう」という思いでレースに集中。それが金メダル獲得への原動力となったという。

問題の指輪は、ボンフィン選手の両親が結婚30周年まで身に着けていた6つの金の指輪を溶かし、一つにして贈られた結婚指輪だった。
この指輪は重く、競技中の着用には適していなかったため、元ブラジル競歩チャンピオンでもある母ジアネッティ・ボンフィンさんは「外して出場しなさい」と助言していた。しかし、ボンフィン選手は常に指輪を身に着けたままレースに臨んでいた。
競技中、苦しい時には指輪にキスをする習慣があったためだ。
これまでボンフィン選手は銀メダルの獲得にとどまっていた。2024年パリ五輪では1位と14秒差で銀メダルに終わり、今大会の35km競歩でも銀メダルだった。
今回のレースでは、終始自分が先頭に立っていることに気づいていなかったという。最終周回で中国とスペインの選手を抜いたものの、集中のあまり自分は2位だと錯覚していた。そんな中、日本の山西利和選手がルール違反で2分のペナルティを受け、先頭争いから脱落。ボンフィン選手はそのままトップでフィニッシュした。
ゴール直前になって初めて自分が先頭であることに気づき、フィニッシュラインを越えた瞬間に涙を流したという。ボンフィン選手は「今回も銀メダルだと思っていたが、まさか金メダルになるとは想像もしていなかった」と喜びを語った。

幸運にも、指輪は後に見つかった。競技後、ボンフィン選手がメディアを通じて指輪探しへの協力を呼びかけたところ、この日、指輪を拾った人物がテレビ番組を見て、ブラジル代表チームの関係者に連絡を入れた。
前日には、日本の一部選手たちが約1時間にわたりコースを歩き、指輪を探す手助けをしていた。
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