
東京都で選挙ポスターをめぐる混乱が再び発生した。昨年、竹島の写真に女性の体の写真を合わせたポスターが問題となり、国会が「品位あるポスター」を求める法改正を進めたが、類似した事例が再び起きた。
11日付の産経新聞によると、9日に告示された東京都葛飾区議会選挙期間中、男性器を模したような着ぐるみ姿の候補者のポスターが区内48カ所の掲示板に貼られた。ポスターには氏名や公約の記載がなく、地球を背景にした着ぐるみ姿の候補者のみが写っていた。

東京都葛飾区内の掲示板にこのポスターが張り出されると、「子どもに見せられない」、「恥ずかしい」、「撤去してほしい」といった苦情が区役所に殺到した。葛飾区選挙管理委員会も連日の対応に追われた。
警視庁は告示翌日の3日、問題の候補者に対し、東京都迷惑防止条例違反を理由に警告を行い、ポスターの撤去を求めた。 しかし、ポスターはその後も撤去されず、投票日まで掲示が続いた。
候補者側は、わいせつ部分を紙で覆う、黒く塗りつぶすなどの対応を取ったが、選挙管理委員会関係者によると「多くは十分に修正されていなかった」という。 関係者は「ポスターは候補者本人の所有物のため、選管側で撤去できない」と説明し、「選挙後も苦情が寄せられている」と述べた。
女性の体をさらけ出した写真まで…選挙法改正まで招いた異例の事態

昨年7月の東京都知事選では、56人の候補者が届け出を行い、内容や表現が問題視されるポスターが各地に掲示された。
一部の候補者は女性の体の写真まで使用していた。政治団体「NHKから国民を守る党」は多数の候補者を擁立し、掲示板の使用料を収入源とする実質的な営利活動を行っていた。
こうした事態の背景には、公職選挙法にポスターの内容を直接規制する規定がないことがある。虚偽の記載や他候補への誹謗中傷でなければ問題とされず、候補者の顔写真や四角形の形状も義務づけられていない。まさに、法の抜け穴を利用した形である。
参議院は今年3月の本会議で、公職選挙法改正案を可決し、選挙ポスターに品位を求める「品位維持」規定を新設した。
改正法は、他人や政党の名誉を毀損する内容や公序良俗に反する表現を禁止し、営利目的でポスターを利用した場合は100万円以下の罰金を科すことを定めた。
しかし、今回の葛飾区の事例で改正法の実効性に疑問が生じた。選挙管理委員会によると、掲示板に貼られるポスターを事前に確認する制度は存在しない。総務省選挙課の関係者は「ポスターは各候補者が自ら掲示するもので、選管に届け出る仕組みはない」と説明し、「問題のある内容を事前に阻止する方法もない」と述べた。
仮に品位維持規定に違反しても、選管には法的な撤去権限がない。葛飾区選管は「不適切だとの指摘を何度も受けたが、取り外すことはできなかった」と明かした。
また、改正法では特定商品の広告など営利目的のポスターに対しては罰金規定を設けているが、わいせつな表現を含む場合の罰則は定められていない。
今回、警視庁が警告を出したのも、公職選挙法ではなく東京都迷惑防止条例を根拠としたもので、警視庁は「公職選挙法には制裁規定がなく、警告にとどまった」と説明した。













コメント0