
ギリシャ神話でクロノスが自らの子どもを飲み込んだように、宇宙の恒星も寿命の終わりに近づくと、周囲の惑星を取り込むことがある。太陽系でも、約50億年後に太陽が赤色巨星へと膨張し、水星と金星を飲み込むと予測されている。科学者たちは、赤色巨星による「惑星捕食」が宇宙で広く起きていると考えてきたものの、その頻度を裏付ける統計は十分ではなかった。
英国のユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンとウォーリック大学のエドワード・ブライアント博士の研究チームは、NASAの系外惑星探査衛星「TESS」が得たデータを用いて、赤色巨星がどれほど多くの惑星を飲み込むのかを調べた。
惑星捕食の割合、約3分の1に減少
研究チームは、TESSが観測した1万5,000個の恒星を対象に、周期的な明るさの変化から公転周期が約12日と短い巨大ガス惑星の存在を分析した。現行の観測技術で検出しやすいタイプの惑星に絞って調査した結果、計130個の惑星候補を発見し、これらを統計的に比較した。
主な分析結果は以下の通りだ。
・恒星が近距離に巨大ガス惑星を持つ確率:0.28%
・主系列星(現在の太陽のような安定段階)での確率:0.35%
・赤色巨星段階の恒星での確率:0.11%(主系列星の3分の1に低下)
惑星の運命に待ち受ける苛烈な結末
この結果は、主系列星が赤色巨星へと進化する過程で、恒星のすぐ近くを公転していた多くの惑星が星に飲み込まれた可能性を示唆している。
赤色巨星の近くで現在観測されている惑星でさえ、かつては地球や火星軌道のように恒星から離れた位置を回っていたものの、恒星の膨張によって相対的に近い軌道へ押し出されたとみられている。
結局、恒星は寿命が尽きる際、近いものから順に「自らの子」である惑星を飲み込む運命にある。たとえ遠い未来に地球が太陽に取り込まれる運命を逃れたとしても、赤色巨星となった太陽は地球を灼熱の惑星へと変え、最終的に白色矮星として余生をたどることになる。
地球の最後がすでに定められているからこそ、私たちが今生きているこの惑星での一瞬が、より貴重に感じられるのかもしれない。













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