メインメニューへスキップ(上段) メインコンテンツへスキップ メインメニューへスキップ(下段)

専門家「今や市場は中国中心」、中国が再エネ覇権を奪取…米欧は主導権争いに戻れるのか

望月博樹 アクセス  

引用:Shutterstock*この画像は記事の内容と一切関係ありません
引用:Shutterstock*この画像は記事の内容と一切関係ありません

世界の再生可能エネルギーの利用が、開発途上国を中心に急速に拡大しており、その動きを中国が主導していると、米紙『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』が10日(現地時間)報じた。一方、米国は気候変動対策の政策を後退させており、欧州も対応の進展は遅れている。それに対し、世界人口の大半を占め、経済成長が著しい新興国は、気候変動への取り組みに積極的である。

人口が多く成長が速い新興国、開発途上国が主導している状況だ。ブラジル、インド、ベトナムなどの国々は、太陽光発電や風力発電の導入を急速に進めている。エチオピアやネパールのようなより貧しい国々は、ガソリン車よりも電気自動車の普及に力を入れている。石油輸出国のナイジェリアは、初の太陽光パネル製造工場の建設を計画しており、モロッコは欧州の自動車メーカー向けにバッテリーの集積拠点(バッテリーハブ)を整備している。チリの首都サンティアゴでは、ここ数年でバス車両の半数以上が電気自動車に切り替えられた。こうした変化の中心に位置するのが、新たな再生可能エネルギーの超大国・中国である。

太陽光パネルや風力タービン、バッテリー市場が国内で飽和状態となると、中国企業はエネルギー需要の高い開発途上国への輸出を積極的に拡大している。また、数十億ドル規模の投資を行い、ベトナムには太陽光パネル工場を、ブラジルには電気自動車工場を建設している。こうした中国の産業政策が、世界で最も急成長している国々の発展を後押ししている。

今年、国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)が開催されるブラジルのアンドレ・コヘーア・ド・ラーゴ外交官は、「気候の観点から見ると、開発途上国が解決策を示している」と指摘した。ただし、開発途上国の再生可能エネルギー産業が、気候変動問題を完全に解決できるわけではない。依然として多くの国が、エネルギーの大部分を化石燃料に依存しているためである。それでも、こうした国々はコスト削減やエネルギー安全保障の観点から、再生可能エネルギーの利用を着実に拡大している。多くの国が、外貨準備に負担をかける化石燃料の輸入を減らすことを目指している。

急速に下落する安価な中国製品の価格が、新興国におけるエネルギー転換を後押ししている。環境研究・支援団体である世界資源研究所のアニ・ダスグプタ所長は、経済発展と温室効果ガス削減は必ずしも相反するものではないことを示していると指摘した。

エチオピアは昨年、新型ガソリン車の輸入を禁止し、ネパールは電気自動車の輸入関税を大幅に引き下げることで、電気自動車が内燃機関車よりも安価になる状況を生み出した。ブラジルでは、BYDやグレート・ウォール・モーターといった中国企業が現地に工場を建設できるよう、輸入自動車全般にかかる関税を引き上げている。

中国は2011年以降、世界各地に2,250億ドル(約34兆5,209億円)以上を投資しており、そのうち約4分の3が低所得国や新興国、いわゆる「グローバルサウス」諸国向けの投資であった。これは、第二次世界大戦直後に米国が世界経済振興のために実施したマーシャル・プランを上回る規模である。インドもまた、中国の産業政策を参考にしており、同国政府は大規模な太陽光発電設備の設置を進めるとともに、国内での太陽光設備生産を促すための補助金を支給している。インドは先週、ブラジルで開催された気候サミットで、自国の電力需要の半分を風力・太陽光・水力で賄うことが可能となり、当初2030年までに達成する予定だったパリ協定のクリーンエネルギー転換目標を、5年前倒しで達成したと発表した。

これらの動きは、世界の中心軸が再生可能エネルギー分野で移動していることを示唆している。パリ協定が締結された10年前、米国や欧州などの先進国は、開発途上国に対して温室効果ガスの排出削減を強く求めていた。これに対し、開発途上国は、経済開発に必要なクリーンエネルギー転換のコストは先進国が支援すべきだと反論した。しかし、約束された支援の多くは実現せず、開発途上国には依然として不満が残っている。

状況はその後変化した。欧州の気候専門家ケイシー・ブラウン氏は、「10年前は政治的意思はあったが、市場は存在しなかった。しかし現在は再生可能エネルギーの市場が形成されている。この市場を誰が主導するかが鍵である」と指摘した。

中国は、ドナルド・トランプ米政権が気候変動会議からの撤退を表明した後、世界の気候変動対策を主導する国としての地位を確立している。丁薛祥(テイ・セツショウ)中国副首相は先週の気候サミットで、「グリーンで低炭素な転換は時代の流れである」と強調した。さらに、各国に対してグリーン技術に対する貿易障壁を引き下げるよう呼びかけた。

今年、中国からの太陽光パネルや風力タービン、バッテリーの輸出は過去最高を更新しており、中国は世界における再生可能エネルギーの普及が自国にもたらす利益をアピールしている。これに対し、米国や欧州は、中国の影響力が強まることで自国産業が圧迫されることを懸念している。しかし、ブラジルで開かれた気候サミットでは、中国による再生可能エネルギー産業の主導がむしろ歓迎される状況となった。ブラジルのアンドレ・コヘーア・ド・ラーゴ外交官は、「中国に炭素排出削減を求めつつ、同時に中国が安価な電気自動車を世界中に供給していることを非難することはできない」と述べた。

望月博樹
defaultjp@kangnamtimesjp.com

コメント0

300

コメント0

[トレンド] ランキング

  • 「ドバイ砂漠に男女の切断遺体...」ロシア人8人が関与!“暗号資産詐欺師夫妻”の悲劇的最期
  • 「月で2夜連続の閃光」…112kmクレーター脇を走った白い光、月面観測システムが発した異常警告
  • 【花巻空港が緊急閉鎖】滑走路にクマ出現で1時間20分ストップ…監視カメラが捉えた“横断の瞬間”
  • 「弁護人が容疑者に」性暴行事件を担当していた弁護士、被害者への性暴行容疑で逮捕
  • 【稀代の女詐欺師】12万8千人の老後資金から“1兆円超”吸い上げた、中国人の女を英国で逮捕!
  • 「帰宅中に突然、目を突かれた」…オーストラリアの12歳少女、カササギの襲撃で“失明の危機”!

こんな記事も読まれています

  • 「豪華なのにエコ?」エマ・ワトソンの自動車コレクションの中の答え
  • アメリカの名を冠し中国技術を採用 ラム・ダコタの立ち位置はどこに
  • 『パフォーマンス-B STI』、最後のターボBOXERか!?電動化時代に放たれた狼煙
  • 「目的地周辺です」、まだ聞こえるなら旧型ナビの可能性があるかも?
  • ロシア軍、「ドローンだらけの軍隊」へ急変…専門部隊を創設しウクライナ前線に投入
  • 「ドバイ砂漠に男女の切断遺体…」ロシア人8人が関与!“暗号資産詐欺師夫妻”の悲劇的最期
  • 「泥棒呼ばわり」から一夜で急転…金のロレックスが動かした?トランプ氏とスイスの“黄金外交”
  • MS独自チップは迷走、OpenAI成果を“盗み見”できる実態露呈…後発企業の苦境が鮮明に

こんな記事も読まれています

  • 「豪華なのにエコ?」エマ・ワトソンの自動車コレクションの中の答え
  • アメリカの名を冠し中国技術を採用 ラム・ダコタの立ち位置はどこに
  • 『パフォーマンス-B STI』、最後のターボBOXERか!?電動化時代に放たれた狼煙
  • 「目的地周辺です」、まだ聞こえるなら旧型ナビの可能性があるかも?
  • ロシア軍、「ドローンだらけの軍隊」へ急変…専門部隊を創設しウクライナ前線に投入
  • 「ドバイ砂漠に男女の切断遺体…」ロシア人8人が関与!“暗号資産詐欺師夫妻”の悲劇的最期
  • 「泥棒呼ばわり」から一夜で急転…金のロレックスが動かした?トランプ氏とスイスの“黄金外交”
  • MS独自チップは迷走、OpenAI成果を“盗み見”できる実態露呈…後発企業の苦境が鮮明に

おすすめニュース

  • 1
    【衝撃計画】韓国企業、米国で年2~3隻の原子力潜水艦建造へ!造船所は年間最大20隻目標

    ニュース 

  • 2
    Appleはどう“折りたたむ”のか?フォルダブルiPhoneの注目ポイント10選

    IT・テック 

  • 3
    【戦場の暴走族】濃霧の中をオートバイで疾走するロシア兵…ウクライナ東部で“異様な進撃”

    ニュース 

  • 4
    「ハメネイの写真を燃やした20代、車内で死亡」イラン激震、怒りの炎が“制御不能”に

    ニュース 

  • 5
    【数字だけ独走】トランプ氏、敗訴時の返還額を半日で2兆→3兆ドルへ“勝手に増額”!

    ニュース 

話題

  • 1
    【重大発表】日本、「武器輸出制限」を全面撤廃へ!防衛産業に新たな“成長の波”

    ニュース 

  • 2
    「米軍空爆で76人死亡」...英国・カナダ、“麻薬船情報”提供中止!カリブ海で“米軍孤立”か

    ニュース 

  • 3
    【米に対抗】中国空軍、J‑20と無人攻撃機GJ‑11の共同編隊を初公開!電子戦×ステルスで防空網突破へ

    ニュース 

  • 4
    「米国よ、会談を再開せよ」ラブロフ外相が異例の呼びかけ…“停滞打破”で戦況に変化の兆し

    ニュース 

  • 5
    【緊迫】ゼレンスキー「厳しい状況…天候もロシアに有利」ロシア、“ポクロフスク掌握”なら重大勝利に

    ニュース