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燃料漏れのまま離陸し、マッハ3で自ら密閉する機体 SR-71だけが許された飛行の掟

有馬侑之介 アクセス  

引用:アメリカ空軍
引用:アメリカ空軍

アメリカのロッキードが開発した戦略偵察機SR-71ブラックバードは、今なお航空技術の伝説として語り継がれている。開発はロッキード・マーティンの前身であるロッキードの極秘航空機開発部門スカンクワークスが主導した。退役して久しいが、「世界最速の有人空気吸い込み式航空機」という象徴性は今も色あせていない。最高速度はマッハ3を超え、敵のミサイルに対しても、圧倒的な速度で振り切ることができる機体だった。

だがSR-71の秘密は、単に強力なエンジンにあったわけではない。航空専門メディアSimple Flyingは2日(現地時間)、SR-71の独特な推進構造を解説し、操縦士や整備士でさえこの機体を一般の航空機と同じ方法で説明するのに苦労したと伝えた。

SR-71にはPratt & Whitneyが製造したJ58エンジンが搭載された。だがこのエンジンの真骨頂は、単に強力な推力を生み出すことだけではなかった。速度が上がるほど、機体前方から流れ込む空気そのものが推進力へと変わった。エンジンだけに頼るのではなく、吸気口に取り込んだ空気を圧縮・制御することで、高い推進力を得る仕組みだった。

SR-71の巡航速度はマッハ3.2に達した。この速度では、機体に当たる空気は、もはや普通の風ではなく、巨大な壁のような圧力となって押し寄せた。機体両側のエンジン前部には、スパイクコーンと呼ばれる先端が尖った円錐状の装置が取り付けられていた。この装置は高速で押し寄せる空気を整理してエンジン内に送り込み、その空気のエネルギーを推力へと変えた。

つまり、SR-71はエンジンの力だけで高速飛行を実現したわけではない。速度が上がるほど、前方から押し寄せる空気をより積極的に利用した。通常の機体では空気抵抗が速度を妨げる要因となるが、SR-71はその圧力さえも推力に転換した。

空気そのものを推進力として活用する

ほとんどの戦闘機でアフターバーナーは短時間使用する装置だ。エンジン後部に燃料を追加噴射して炎を大きくし、一時的に速度を引き上げる仕組みだ。急加速やミサイル回避時に一時的に使用することが多い。燃料消費が大きくエンジンへの負担も大きいため、長時間の使用は難しい。しかしSR-71は任務中ずっとアフターバーナーを点火したまま飛行するよう設計されていた。一般の航空機の常識を覆す設計だった。

高速飛行に入るとSR-71の吸気口とエンジン周辺の構造がより重要な役割を果たした。エンジン内部を通過しない空気までも後方に送り、燃料と共に燃焼させ、この過程で追加の推力を生み出した。マッハ3領域では高速で押し寄せる空気自体を圧縮して力に変える効果まで活用した。

操縦士や整備士がこのシステムを「魔法のような技術」と評した理由もここにある。SR-71のエンジンは単なる金属部品が回転する装置ではなかった。吸気口内での空気の流れ方が性能を左右した。吸気口先端のスパイクコーンがわずかでも誤作動すれば空気の流れが乱れ、エンジンは瞬時に推力を失う可能性があった。

機体の素材からして異質だった。SR-71はほぼ全体がチタン合金で作られていた。マッハ3以上で飛行すると空気との摩擦で機体表面が高温になる。一般的な金属ではこの熱に耐えられなかった。ロッキードはこの熱に対応するため、チタン合金構造を大規模に採用した。当時の航空機製造技術では極めて大胆な選択だった。

燃料漏れも設計の計算のうち

問題は地上にいる時だった。SR-71はマッハ3での高速飛行時の熱膨張を考慮して設計され、飛行前の状態では部品と燃料タンクの間に隙間があり、燃料が漏れることもあった。欠陥のように見えたが、高速飛行に入って機体が熱くなれば構造が適合するよう計算された設計だった。

SR-71が使用したJP-7燃料も特殊だった。この燃料は容易に引火しないよう作られていた。SR-71は飛行中に機体が極度に熱くなるため、一般的な燃料をそのまま使用できなかった。JP-7はエンジンを駆動するだけでなく、高温になった機体や装置の熱を吸収する冷却剤としての役割も担っていた。

ただし、あまりに安定した燃料は点火が困難だった。SR-71はこの問題を解決するため特殊な化学物質を使用した。エンジン始動とアフターバーナー点火時にこの物質が燃料に点火し、その過程で特徴的な明るい緑色の炎が生じた。

SR-71は飛行前から着陸後まで一般の航空機とは異なる基準で運用された。地上の低温状態とマッハ3での高速飛行状態の両方を考慮した機体で、離陸後高速域に入ると構造とエンジンは全く異なる条件下で作動した。一見すると不安定で非効率に見えた各設計要素は、実際には超高速偵察任務に最適化された緻密な計算の産物だった。

ブラックバードは退役までに数々の速度・高度記録を樹立した。1976年にはマッハ3.3前後(時速約3,529km)の公式速度記録を達成し、1990年の最終飛行でもアメリカ大陸横断で新たな速度記録を残した。今でもSR-71は20世紀の航空技術の到達点を示す象徴として評価されている。一見すると常識外れに見えた設計要素のすべてが、超高速飛行を実現するための緻密な計算の結果だったのだ。

有馬侑之介
//= the_author_meta('email'); ?>editor@kangnamtimes.com

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