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2025年06月15日日曜日
ホームトレンド【月面着陸】民間主導で宇宙へ挑む日本、政府依存の韓国 両国の「宇宙格差」は「国際化」と「長期支援」にあり

【月面着陸】民間主導で宇宙へ挑む日本、政府依存の韓国 両国の「宇宙格差」は「国際化」と「長期支援」にあり

日本企業、2023年から月面着陸に挑戦

韓国、2032年に初の月探査を計画

国際化・長期投資が宇宙開発の明暗を分ける

引用:ispaceホームページ
引用:ispaceホームページ

国内の宇宙ベンチャー企業「ispace(アイスペース)」が今月6日、無人月面探査機「レジリエンス(RESILIENCE)」による月面着陸に再挑戦したものの、今回も失敗に終わった。探査機は月面への着陸直前に減速できず、月の表面に衝突したとみられている。ispaceは2023年4月にも初の月面着陸を試みたが、このときも失敗しており、今回で2度連続の失敗となった。それでも同社は、2027年第1四半期と第4四半期に再び月面着陸に挑戦する計画を明らかにしている。

昨年1月、政府主導の無人月面探査機「SLIM(スリム)」が月面着陸に一部成功しており、現在は民間主導での挑戦が進められている。一方、韓国では民間による月面着陸はおろか、政府主導の着陸さえまだ試みられていない。韓国政府が掲げる月面着陸の目標時期は2032年とされている。なぜここまで大きな差が生まれてしまったのか。

今月4日、韓国・大田(テジョン)コンベンションセンターで開催された「インターナショナル・スペース・サミット2025(ISS 2025)」で取材に応じたispaceの国際協力担当官であるキム・ガンサン氏は、「民間主導の宇宙開発であるニュー・スペース分野で、日本と韓国の格差は国際化と政府の戦略的な支援が左右した」と語った。

ispaceは日本の企業でありながら、従業員の約67%を外国人が占めている。国籍も多様で、東京本社で働く182人のうち41%が外国人で、出身国は24カ国に及ぶ。米国・デンバー支社では3カ国から集まった約100人が勤務しており、欧州のルクセンブルク支社にも24カ国から来た44人のスタッフが働いている。

このような同社のグローバル性を象徴する人物の一人が、国際協力担当官のキム氏だ。韓国出身のキム氏は、米国の衛星サービス企業プラネット・ラブズを経て、ispaceに加わった。キム氏は「宇宙関連企業が成長するには、国内市場だけでは限界がある。海外プロジェクトの受注や輸出を積極的に進める必要があり、そのためには海外人材の力が不可欠だ」と強調した。

日本と韓国は、全般的な先端技術分野においてはほぼ同等の競争力を有していると評価されている。米ハーバード大学ケネディ・スクール(公共政策大学院)付属のベルファー・センターが最近発表した「主要新興技術ランキング(Top Emerging Technologies Ranking)」でも、日本が4位、韓国が5位に入り、その差はわずかだった。宇宙開発で格差が開いたのは、内需市場に依存した人材構造が一因とみられている。

キム氏、「ispaceをはじめとする日本の宇宙企業は、海外から優秀な人材を確保するために多くの努力している」と述べ、「韓国の宇宙企業も、科学技術情報通信部や宇宙航空庁の国内事業だけに目を向けるのではなく、積極的に海外プロジェクトへの参入を目指すべきだ」と助言した。国内市場がまだ十分に整っていないのであれば、初めから海外市場を視野に入れるべきだという考え方だ。

また、政府による戦略的な支援も、宇宙関連企業の成長を後押ししていると評価されている。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、総額100億円規模の宇宙産業活性化ファンドを設け、企業や大学による研究開発(R&D)を支援している。韓国にも民間向けのニュー・スペース・ファンドはあるが、その規模は年間約100億ウォン(約10億4,743万円)程度にとどまっている。

キム氏は、これは単に予算規模の問題ではないと指摘している。「日本では、政府が企業を支援する際、短期プロジェクトではなく、短くても5年、長ければ10年というスパンで支援を行う」とし、「ispaceやアクセルスペースといった日本を代表する宇宙ベンチャーも、こうした長期的な戦略と継続的な支援の下で成長してきたのだ」と説明した。

引用:JAXA
引用:JAXA

韓国では、宇宙開発を担当する宇宙航空庁が発足したものの、政府によるプロジェクトは依然として1~2年単位の短期課題が多数だ。こうした状況について、「政府が短期プロジェクト中心で支援を行うと、民間企業にとっては将来の見通しが立てにくく、本格的な投資に踏み切りづらい」との指摘が出ている。

また、日本政府は企業と大学の連携によるR&Dを奨励している。キム氏は「企業と大学が連携して基礎研究を進めると、政府からの支援も受けやすくなる」とし、「こうした連携の中で大学から生まれた技術が迅速にスタートアップや企業へと移転され、人材の流れも自然に形成される構造が出来上がっている」と述べた。

さらに彼は、韓国政府が外国との協力を推進する際、企業が参加できる仕組みを構築すべきだと提案している。「韓国が宇宙産業を育てるためには、国際化が何より重要だ。すべてを韓国一国で賄おうとするのではなく、アメリカや日本、インド、東南アジア諸国との連携を模索すべきだ」と付き加えた。

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