
北朝鮮に関連するとされるハッカーが今年奪取した暗号資産の規模が、20億ドル(約3,120億円)を超えた。過去最高額に達したという。
ブロックチェーン分析企業「チェイナリシス」の報告書によると、今年、北朝鮮のハッキングにより奪取された暗号資産は20億ドルに上り、前年より50%以上増えたという。
ハッキング被害が急増した主な背景として挙げられるのが、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイに本社を置く暗号資産取引所バイビットへの2月の攻撃である。北朝鮮系ハッカーはこの攻撃で、イーサリアム約15億ドル相当(約2,340億円)を奪取し、暗号資産史上最大級の窃盗事件を主導したとみられている。
「チェイナリシス」によれば、今年、世界の暗号資産業界で発生した奪取額の総計は約34億ドル(約5,304億円)で、うち北朝鮮の占める割合は約60%に達した。特に、取引所などの中央集権型サービスが侵害された事案のうち、76%が北朝鮮の犯行として指摘された。北朝鮮による暗号資産の累計奪取額は、少なくとも67億5,000万ドル(約1兆531億円)に上ると推計されている。
また、北朝鮮のIT要員が、西側の暗号資産サービス企業やWeb3企業に偽の身分で就職し、内部のアクセス権限を得る手口も目立つ。社内で権限を引き上げたうえで、多額の資金を一度に流出させるケースが増えているという。
チェイナリシスで国家安全保障インテリジェンス部門を統括するアンドリュー・ピアマン氏は「暗号資産の奪取は、いまや北朝鮮政権の核心的な収益源になった」と指摘し、得た資金が大量破壊兵器(WMD)やミサイル開発計画の財源に回っているとの見方を示した。
















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