
ドナルド・トランプ米大統領の命令で、主権国家ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領が拘束され米国へ移送されたと報じられ、国際社会に波紋が広がっている。こうした中、長年マドゥロ大統領の身辺警護を担ってきたキューバ情報機関の威信も大きく揺らいでいる。
報道によると、マドゥロ大統領は現地3日未明、厳重な警備網を突破した米特殊部隊によって就寝中に身柄を確保され、そのまま米国へ移送された。この過程で米側の死傷者は出なかった一方、ベネズエラ側では約80人が死亡し、このうち32人はマドゥロ大統領を警護していたキューバ要員だったと伝えられている。
マドゥロ大統領の警護に当たっていたキューバ要員は、キューバの情報機関ディレシオン・デ・インテリヘンシア(Dirección de Inteligencia、DI)に所属するとされる。DIは1961年のキューバ革命直後、旧ソ連の国家保安委員会(KGB)の支援を受けて創設されたとされ、冷戦期には中南米屈指の情報機関として知られた。
冷戦期のDIは、フィデル・カストロ前国家評議会議長に対する暗殺計画を阻止したほか、米国の高官クラスへの工作、アンゴラやパナマなど複数国の要人警護などを担い、存在感を示してきたという。創設を支援した旧ソ連側ですら、中南米・アフリカでの情報網構築を進める過程でキューバに依存したとされる。
一方、キューバとベネズエラの関係が現在の形で深まったのは、ソ連崩壊後だと報じられている。経済危機が深刻化したキューバが、石油資源を抱えるベネズエラとの連携を強め、高位の情報・軍関係者を派遣してきたという。
今回の事態直前までマドゥロ大統領を至近距離で警護していた人物として、アスドゥルバル・デ・ラ・ベガ氏の名が挙がっている。米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」によれば、デ・ラ・ベガ氏はマドゥロ大統領の最側近の保安・情報担当者の1人で、影のように随行し、就寝時も隣室で寝起きするほど近い関係だったとされる。ただ、今回の作戦後、所在は確認されていないという。
この作戦が及ぼす影響について、「ウォール・ストリート・ジャーナル」は5日、マドゥロ大統領拘束作戦はキューバ情報機関の脆弱性を露呈したとし、キューバは最重要の保護対象を失った一方、米国に損害を与えられなかったと評価した。

さらに、かつて中南米屈指とされた情報機関の失墜は、キューバ国内政治にも重荷になるとの見方が出ている。深刻な経済難の下、ベネズエラの財政支援や安価な石油供給に依存してきたキューバが、今回の事態で最重要の支援相手を失い、体制維持が一段と難しくなりかねないためだとされる。
米国へ亡命した元キューバ情報関係者は同紙に対し、国民統制の装置が特権を保てなければ体制は持ちこたえにくく、経済的余力が尽きれば、いかなる政権も長続きしないと指摘したという。ホルヘ・カスタニェダ元メキシコ外相も、より深刻なのはキューバが米軍に損害を与えられなかった点であり、必要な戦力が適切に配置されていなかったことを示すと述べたと報じられている。
トランプ大統領はマドゥロ大統領を拘束した作戦を高く評価し、キューバ側の死者にも言及した。報道によると、トランプ大統領は現地6日、ワシントンDCのトランプ・ケネディ・センターで開かれた下院共和党議員の年次政策会議で、米軍の特別軍事作戦「確固たる決意」について、多数の地上部隊と150機超の航空戦力が投入されたが作戦は極めて成功だったと主張した。

その上で、米側は犠牲者を出さず、相手側には多数の死者が出たと述べ、残念ながらキューバ兵士も死亡したと語ったという。さらに、ベネズエラ側は奇襲を事前に察知していたものの、大規模停電のため対応できなかったとし、全国的に電力が失われ、ろうそくを持つ人だけが前方を確認できる状況だったことが作戦成功につながったと主張したと報じられている。
またトランプ大統領は、米国が地球上で最も強力で致命的、かつ精巧な軍を保有していることを改めて示したとして、誰も米国には勝てないと強調したという。
















コメント2
次長でごゴザル
他国の国家元首を拉致・投獄するなんてとんでもないと思う。ただ、ベネズエラの国内事情を詳しく知らないので何ともいえないのもある。例えばこれが北朝鮮での話であれば、かなり国内事情は酷いようなので、金総書記を拉致して刑務所に放り込んでくれたら有難いと感じると思う。比較するのもおかしいが、ロシアのように旧同連邦の他国に長年侵略戦争を続けるよりはマシ。犠牲者の数が違う。何れにしても、武力がなければ国は守れないのは間違いない。戦争は断固反対だが、日本も自衛隊の皆さんのお陰で今は何とか安全なものの、世界情勢を考えれば武力強化は避けて通れないのではないかと感じます。
敵対国であっても宣戦布告もなしに、侵入し国家元首を拉致するとはおよそ最先進国・最強国の大統領が命ずべきではない。これは世界の列強が自由に他国の主権や生存を犯してもよいという悪しき前例になるだろう。目下のロシアの蛮行を認めたに等しい。続く国を想像するに恐怖すら感じざるを得ない。