
ドナルド・トランプ米政権が、デンマーク自治領グリーンランドを手に入れるため、現地住民に現金を支給する案を検討してきたと報じられた。グリーンランドの独立の決定権が住民側にある点を踏まえ、住民を直接説得し、米国に有利な形でグリーンランドの帰趨を導こうとする構想だという。
北極海と北大西洋を結ぶ地政学上の要衝であるグリーンランドには、レアアースをはじめ、ニッケルやリチウムなどの資源が大規模に埋蔵されているとされる。
報道によると、トランプ政権はグリーンランドの編入に向けた戦略の一環として、住民約5万7,000人に一時金を一括で支給する案を政権内で議論していた。金額は明示されていないものの、1人当たり1万〜10万ドル(約157万円〜約1,574万円)が取り沙汰されたという。
この構想は、独立の是非を左右する住民を直接説得し、住民投票を米国に有利な方向へ誘導する狙いがあるとみられる。2009年に制定された自治法には、グリーンランドの独立を決める権限はグリーンランドの人々にあると明記されている。グリーンランドがデンマークから独立するには、両政府の交渉や自治議会での手続きに加え、住民投票も必要になる。
一方、昨年1月に実施された世論調査では、住民の85%が米国への編入に反対したとされる。報道は、今回の現金給付案を「米国がグリーンランドを買う一つの方法」と位置付けており、グリーンランド獲得に向けた動きが具体化しているとの見方も出ている。
この報道は、マルコ・ルビオ国務長官が最近、議会指導部への非公開説明で「トランプ政権の目標はグリーンランドの買収だ」と述べ、軍事介入を検討しているとの見方を否定したとされることとも符合する。ホワイトハウスのキャロライン・レービット報道官も、関連の質問に対し、ルビオ国務長官の発言を参照するよう答えたという。
グリーンランドの現在価値「最大1兆ドル(約150兆円)」

米国が領土拡張の一環として他国の土地を買い取った前例は少なくない。1803年にはフランスからルイジアナを買収し、南北戦争直後の1867年にはロシアからアラスカを720万ドル(約11億円)で購入した。
グリーンランドも過去に2度、米国が買収を検討したとされる土地だ。アラスカ購入時にも買収対象として取り沙汰され、1946年にはハリー・トルーマン政権が買収額として1億ドル(約157億円)を提示したこともあったという。ただし、経済学者の推計では、グリーンランドの現在価値は最大1兆ドル(約157兆円)まで上昇しているとされる。
金銭で領土を拡張する手法は、第2次世界大戦後は事実上姿を消した。米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、その背景として、国境が民族国家のアイデンティティを形づくる中核要素になったことを挙げている。
マーシャル諸島のようなCOFA締結という選択肢
米国がグリーンランドをデンマークから完全に切り離したうえで、自由連合盟約(COFA)を結ぶ可能性も選択肢として挙げられている。太平洋のパラオ、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦などの小規模島嶼国は、同様の枠組みを採用してきた。
COFAでは、米国が相手国・地域に巨額の財政支援を行う一方で、当該地域で米国が自由に軍事作戦を行える権限を得る。中国やロシアの地域的な影響力を抑え込む狙いも重なるとされる。
















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