米欧の亀裂に反色 大西洋同盟の崩壊 分断をあおる発言
デンマーク自治領グリーンランドをめぐり、米国と欧州連合(EU)の対立が深まる中、ロシアがこれを歓迎する姿勢を見せている。北大西洋条約機構(NATO)の結束が揺らぐことを期待するかのような発言も相次いだ。

19日(現地時間)、「タス通信」などによると、ドミトリー・ペスコフ大統領報道官はドナルド・トランプ米大統領がグリーンランド併合構想を示していることについて「トランプ大統領が良いか悪いか、国際法に合致するかどうかは別として、仮にグリーンランド併合問題を解決すれば、トランプ大統領は米国史だけでなく世界史にも名を残すことになる」と述べたという。
トランプ大統領は17日、グリーンランド取得に反対する欧州8カ国に対し、来月1日から10%の追加関税を課すと表明した。さらに同日、米NBCのインタビューでも、関税措置を必ず実行する考えを改めて強調した。
これに対し、欧州では一部の国がグリーンランドに兵力を派遣しており、EUとしても報復関税や金融面での対抗措置を含む対応策が議論されている。米欧間の対立はより鮮明になりつつある。
こうした動きを受け、ウラジーミル・プーチン・ロシア大統領の特使を務めるキリル・ドミトリエフ氏はSNSのXに「大西洋同盟の崩壊だ。ようやくダボス会議で議論するに値する興味深いテーマが生まれた」と投稿し、歓迎の意を示した。
また、挑発的な発言で知られるドミートリー・メドヴェージェフ・ロシア安全保障会議副議長も「欧州諸国は関税によって処罰されている」と述べ、これに同調した。メドヴェージェフ氏は以前にも、トランプ大統領がグリーンランド併合を急がなければ、同地域がロシアに編入されかねないと示唆するなど対立をあおる発言を行っていた。
「日本経済新聞」(日経)は「ロシアはNATOの結束が弱まるほど戦略的に有利になるとみている」と指摘したうえで「力による現状変更を試みる米国の最近の動きは国際社会での信頼を損ねかねず、ロシアによるウクライナ侵攻や領土併合を正当化する論拠として利用される余地もある」と分析した。
一方、欧州内部では懸念の声も上がっている。スペインのペドロ・サンチェス首相は18日、現地紙のインタビューで「もし米国が実際にグリーンランド取得を強行すれば、世界で最も喜ぶのはプーチン大統領だろう」と指摘した。
トランプ大統領はグリーンランド確保の理由として「中国やロシアからの防衛」を挙げている。これについて、ロシア外務省のマリヤ・ザハロワ報道官は15日「中国とロシアを緊張激化の原因とするのは受け入れられないとする中国の立場に同意する」と述べ「事態を悪化させているのは米国ではなくNATOだ」と批判した。また、ロシアは北極航路の防衛やインフラ強化を引き続き進める方針だと強調した。
しかし、同日の会見でペスコフ報道官は「ロシアの脅威を排除するという(トランプ大統領の)発言やグリーンランド取得そのものの是非についてはコメントしない」と述べ、直接的な批判は避けた。
こうしたロシアの慎重姿勢への転換について日経は、ウクライナ戦争をめぐってトランプ政権と進行中の外交協議を刺激したくないとの思惑が背景にあると分析している。北極圏における米国の影響力拡大には警戒感を示しつつも、当面は西側陣営の分裂と米国との関係改善に重きを置いているという。
プーチン大統領は過去にも、米国によるグリーンランド取得構想について比較的融和的な見解を示してきた。昨年3月には「決して馬鹿げた話ではない」と述べ、米国が19世紀以降、グリーンランドの獲得を模索してきた「歴史的文脈がある」と指摘している。
こうした発言を踏まえ、プーチン大統領が北極開発をトランプ政権との潜在的な協力分野と捉えているとの見方も出ている。日経は「欧米制裁で北極圏の資源開発が停滞する中、ロシアが原子力砕氷船の運用など自国が優位に立つ分野を足がかりに、米国との実利的な取引を模索する可能性がある」と伝えている。
















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