英国産ウイスキー関税、10%から5%に引き下げ

中国がキア・スターマー英国首相の中国訪問を機に、英国産ウイスキーに課している関税率を半分に引き下げるとともに、英国が抱える不法移民問題の解決にも協力する方針を示したことが分かった。

ロイター通信などによると、29日(現地時間)に行われたスターマー首相と習近平中国国家主席の首脳会談後、中国は英国産ウイスキーに対する関税を10%から5%に引き下げることを決定したという。これにより、英国のウイスキー輸出業者は今後5年間で2億5,000万ポンド(約528億9,363万1,808円)の経済効果を得ると英首相官邸の関係者は説明した。

スコッチ・ウイスキー協会によると、2024年時点で中国は世界で10番目に大きいスコッチ・ウイスキー市場となっている。

出典:ロイター通信
出典:ロイター通信

英国は主要貿易交渉において、高付加価値の輸出品であるスコッチ・ウイスキーの関税引き下げに努めてきた。昨年インドと締結した貿易協定では、関税を150%から75%に引き下げ、今後10年間で40%まで下げることで合意したが米国との関税引き下げ交渉は成立していない。

また同日、英国と中国の法執行当局は、不法入国を手助けする犯罪組織が移民のイギリス海峡横断に使用する小型ボートのエンジンや装備品の供給網を遮断するために協力する内容の協定に署名した。昨年、密入国組織が使用した小型ボート用エンジンの60%以上が中国製だったという。

これは、野党が安全保障や人権問題を理由にスターマー首相の訪中を批判する中、今回の訪中が英国の安全保障に資する側面もあることを強調する狙いがあるとみられる。移民問題はスターマー政権にとって政治的に極めて敏感な課題だ。

英国は近年急増した移民数を抑制するため、様々な政策を進めており、特にフランスからイギリス海峡を渡って英国へ入国する移民問題の解決に力を入れている。

スターマー首相はこのほか、香港で国家安全法違反により有罪判決を受けた英国籍のジャーナリスト、ジミー・ライ氏の問題や、中国・新疆ウイグル自治区における住民の処遇問題など、議論を呼び得る案件についても提起したという。

スターマー首相は「中国と協力する理由の一つは、可能な機会を捉えると同時に、意見が一致しない問題については成熟した議論を行うためだ」と述べた。

これに対し、最大野党・保守党のクリス・フィリップ影の内相は「キア・スターマー首相は習近平主席の机の上に落ちている経済的なおこぼれを拾い集め、経済を損ねたことを埋め合わせるために北京を訪れ、そのために国家安全保障を差し出そうとしている」と批判した。

両国はこの日、貿易や教育、食品安全などを含む10件の協定にも署名した。英国政府はまた、中国が英国人渡航者に対し、30日以内の滞在であればビザなし入国を認めることを決めたと発表した。これにより、商用や観光で中国を訪れる英国人は、韓国やフランス、ドイツ、オーストラリアなどの渡航者と同様の無査証措置を受けることになる。

望月博樹
望月博樹

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