
建設や運輸など現場で働く職種の賃金が急速に上昇し、一部で事務職の年収を上回る現象が起きている。深刻な人手不足を背景に、AIによる自動化の影響が比較的少ない職種の処遇が大きく改善したことが背景にあるとみられる。
24日の日本経済新聞は、労働市場や人口構造を研究する民間シンクタンク、リクルートワークス研究所の分析を引用し「AI自動化の影響を相対的に受けにくい現場で働く職種の報酬は急速に改善している一方、一部の事務職や公定価格に縛られる職種では賃金上昇が抑制されている」と報じた。
リクルートワークス研究所は厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」を基に、145職種の2024年の非管理職の年収(残業代・賞与込み)を分析した。
その結果、2020年と比べて2024年の年収上昇率が最も高かったのはタクシー運転手で38.3%増だった。次いで歯科医師(38%)、検針員・料金徴収員など屋外サービス職(36.3%)、大工・とび職など建設構造職(31.7%)が続いた。
2024年の自動車整備士の平均年収は480万4,100円で、一般事務職の平均年収468万円を上回った。大工・とび職など建設現場職も492万1,300円と一般事務職より高かった。
このような変化の背景には深刻な人手不足がある。2024年の有効求人倍率(求職者1人当たりの求人数)は大工・とび職で9.38倍、屋外サービス職で3.31倍、運転職で2.74倍と、全体平均1.22倍を大きく上回った。求職者より求人が大幅に多い構造が、賃金上昇圧力として作用したとみられる。
一方、事務職は生成AIの普及の影響を受けている。報道によると、AI導入により秘書や一般事務の業務自動化率は60%を超えた。これに対し、整備職や建設職のAI自動化影響は10%未満にとどまったという。
政府の公定価格に縛られる医療・教育・介護分野では賃金上昇幅は限定的だった。介護職は3.4%、看護師は5.7%の上昇にとどまり、医師は8.5%減少。小中学校教員はほぼ横ばい、高校教員は1.1%減少だった。
専門家は、こうした流れが続けば労働市場の重心が事務職中心から現場職へ移る可能性があると指摘している。ただし、同じ現場職内でも賃金格差が存在するため、国家公認資格取得などを通じた人材移動が見られる可能性もあるという分析も出ている。
















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