米国がイランの最高指導者アリ・ハメネイ師の排除に踏み切ったにも関わらず、中国の習近平国家主席が米国のドナルド・トランプ大統領の訪中を拒めない事情があると、日本経済新聞が4日報じた。同紙の連載コーナー「習近平政権ウォッチ」で、中国担当の中澤克二編集委員(元中国総局長、ボーン・上田記念国際記者賞受賞)が背景を分析した。

トランプ大統領は今月末、国賓として中国を訪れる予定だ。日程は当初計画より前倒しされ、3月31日~4月2日の短期間に縮まった。日本経済新聞は、イランでの軍事作戦シナリオを踏まえ、ワシントンを空ける時間を最小限に抑える意図があるとの見方を示した。
同紙は、トランプ政権が今年実施した2回の軍事行動(1月のベネズエラ、2月のイラン)は同じ文脈にあると指摘した。ベネズエラとイランはいずれも中国にとって重要な原油供給国で、両国への軍事的圧力は中国のエネルギー安全保障を揺さぶる手段になり得るという。
中国は石油の約70%を輸入に依存している。世界最大の原油輸入国である中国にとって、イランは米国主導の制裁を回避しながら比較的安定的に原油を確保できる供給源と位置づけられてきた。日本経済新聞は、トランプ大統領がその供給線を断ち得ることを、ベネズエラで示したとの見立てを紹介した。
習近平国家主席が、ハメネイ師排除という衝撃的事態の後も訪中を受け入れる背景には、中国国内の事情もあるという。不動産債務問題、企業業績の悪化、若年層の失業など経済課題が山積する中で、米国の大企業幹部らを伴うトランプ大統領の訪中が見送られれば、中国経済への内外の見方が一段と悪化しかねないと同紙はみる。加えて、中央軍事委員会副主席の張又俠氏の突然の失脚に象徴される人民解放軍内部の亀裂も、習近平国家主席にとって重荷になっているとした。
中国外務省は2月28日の米国によるイラン攻撃以降、米国を強く批判している。しかし、トランプ大統領を名指しで個人攻撃した例はないとされ、王毅外相も同様の対応を続けている。日本経済新聞は、米中首脳会談を維持したい意向が透けると分析した。
米国のシンクタンク、ハドソン研究所のジネブ・リブア研究員は、イラン問題は結局すべて中国に関わるとの趣旨の見方を示し、米国内でも注目を集めているという。日本経済新聞は、イランへの中国の影響力を弱めることで、米国がインド太平洋に集中する環境を整えるのがトランプ大統領の狙いだとする解釈を伝えた。
同紙は歴史的な符合にも触れた。米中の国交正常化が実現した1979年1月には、イラン・イスラム革命も同じ月に起きた。さらに1989年6月4日には、ルーホッラー・ホメイニ師の死去発表と天安門事件が同日に重なった。今回のハメネイ師排除も、イラン・中国・米国が再び絡み合う現代史の反復として捉えられるとした。
また日本経済新聞は、トランプ大統領にとって訪中の目的の1つは、自身の任期が終わる2029年1月まで、習近平国家主席が台湾や西太平洋で冒険的な軍事行動に踏み出さないようけん制する点にあるとも報じた。一方で、イランの報復が長期化すれば、米国側の事情で訪中が延期される可能性もあると付け加えた。
















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