
米国の空爆で死亡したイランの最高指導者アリ・ハメネイ師の後継者として、次男のモジタバ・ハメネイ氏(56)が有力視されていることが分かった。
米紙ニューヨーク・タイムズは3日、イラン当局者3人の話として、最高指導者を選出する憲法機関「専門家会議」が同日、午前と午後の2回にわたりオンライン会議を開き、この案を審議したと報じた。
イラン憲法によると、最高指導者は88人の高位聖職者で構成される専門家会議が秘密投票で選出する。ハメネイ師は1989年に同会議で最高指導者に選出され、40年以上にわたり体制の実権を握ってきた。情報筋によると、専門家会議は早ければ4日午前にも、モジタバ氏を後継者として正式に発表する案を検討するとしていた。ただ、聖職者の一部からは、同氏が後継者として公に指名された場合、米国やイスラエルの標的となる可能性があるとして、慎重な対応を求める声も出ているという。
また、英国に本部を置く反体制系メディアのイラン・インターナショナルも、モジタバ氏が次期最高指導者に選出されたと報じた。
ドナルド・トランプ米大統領は同日、ワシントンで記者会見を開き、「最悪の後継者シナリオは何か」との質問に対し、「前任者と同様に重大な脅威となる人物が権力を握ることだ」と述べた。そのうえで「そうした事態が起きないことを願っている」と語った。
モジタバ氏は、強い影響力を持ちながらも公の場にほとんど姿を見せない、いわゆる「影の実力者」として知られる。先月28日、父親が米国とイスラエルによる対イラン空爆で死亡して以降、対外的な動きはほとんど確認されていないが、水面下で実権を行使してきたと伝えられている。
モジタバ氏は、最高指導者を補佐する最精鋭の軍事組織、イスラム革命防衛隊と密接な関係を維持しているとされる。革命防衛隊は1979年のイラン革命直後に創設された組織で、通常の国防よりも体制防衛を主な任務としている。内部に陸軍、海軍、航空宇宙軍、情報部門などを独自に抱え、国内で極めて大きな影響力を持つとされる。米国は2019年4月、革命防衛隊を組織全体として外国テロ組織に指定している。
モジタバ氏が有力な後継候補として浮上した背景には、革命防衛隊の強い後押しがあるとみられている。イラン当局者3人によると、革命防衛隊は、同氏がこの危機的状況下でイランを率いるに足る資質を備えていると判断し、最高指導者への任命を後押ししたという。
テヘランのアナリスト、メフディー・ラフマティー氏は「現時点ではモジタバ氏が最も現実的な選択肢だ」と指摘し、「同氏は治安機構や軍事組織の運営、調整に精通している」と述べた。そのうえで「すでに事実上、その役割を担ってきた」と強調した。
一方でラフマティー氏は、この決定が一部で反発を招く可能性があるとも指摘した。「体制支持層は、殉教した指導者の正統な後継者としてモジタバ氏を速やかに支持するだろうが、反体制勢力は同氏を現政権の延長線上にある人物とみなすだろう」と述べ、「一部の国民はこの決定に強く否定的な反応を示し、反発が広がる可能性がある」との見方を示した。
ジョンズ・ホプキンズ大学でイランおよびシーア派イスラムを専門とするバリ・ナスル氏は、モジタバ氏の選出は大きな意味を持つとの見方を示した。ナスル氏は「モジタバ氏は長らく後継者になると見られてきた」と指摘した。その一方で「ここ2年ほどは、その可能性が後退したようにも見えた。仮に同氏が選出されれば、現在の体制の主導権が革命防衛隊側にあることを意味する」と分析した。
ニューヨーク・タイムズによると、他の最終候補としては、ハメネイ師の死去後に暫定的に設けられた臨時指導評議会の3人のメンバーの一人であるアリレザ・アラフィ氏や、イラン革命を主導した初代最高指導者アヤトラ・ホメイニ師の孫、ハッサン・ホメイニ氏らが挙がっている。アラフィ氏とホメイニ氏はいずれも穏健派と評価されている。とりわけホメイニ氏は、改革派政治勢力に近い立場とみられている。
















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