
「普通なら、こういった広告ではうちの新聞を購読してほしいと呼びかけるでしょう。でも今日は違う。どんな報道機関でも支援してほしい」
米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)のオーナーであるアーサー・グレッグ・サルツバーガー会長のこの言葉が、世界のメディア関係者の注目を集めている。
NYTによると、サルツバーガー会長は2日(現地時間)、同社のポッドキャストに1分間の音声広告を掲載した。通常の「購読の呼びかけ」ではなく、会長は「私は報道と事業を統括する立場であり、記者出身者としても、ここ数年、報道の仕事が徐々に縮小していくことを懸念している」と切り出した。続けて「どの記事のリンクもクリックしてほしいとは言わない」とし、「独自取材に基づく報道に専念する報道機関であれば、どこでも支援してほしい」と訴えた。
会長は特に「優れた地域紙には、皆さんの支援が欠かせない」と強調した。そのうえで「NYTを支援してもらえれば、その資金で記者を現場に送り、人工知能(AI)では決して得られない事実や文脈を掘り下げて伝える」と付け加えた。
勢いのある新聞のトップが「私たち以外のメディアも支えてほしい」と語ったのは、一見すると逆説的だ。NYTはデジタル転換に成功し、昨年の購読者数が1,200万人を突破した。一方、かつて二大紙とされたワシントン・ポスト(WP)はこのところ、大規模な人員削減に踏み切った。
米国の地域メディアは人員削減と収益悪化に苦しんでいる。業界全体が危機に直面する中で、会長のメッセージは、特定の媒体にとどまらず、報道の生態系全体を支えてほしいという訴えとして受け止められる。
















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