
米国とイスラエルによる対イラン空爆で始まった中東戦争が3週目に入る中、イランの新たな最高指導者として取り沙汰されるモジタバ・ハメネイ師の行方が、大きな焦点として浮上している。空爆後、同師が公の場に姿を見せていないことから、生死を巡るさまざまな憶測が広がっている。
ドナルド・トランプ米大統領は14日(現地時間)、NBCニュースのインタビューで「彼がまだ生きているかどうかは確かではない」と述べ、「これまで誰も、彼が生きていることを示せていない」と語った。さらに「彼がすでに死亡したという話も聞いたし、生きていたとしても極めて深刻な怪我を負っているという話もある」と付け加えた。
トランプ大統領の発言を受け、イスラエル側も強硬なメッセージを打ち出した。イスラエルの治安当局者は16日、英紙デイリー・メールに対し「私たちは彼がどこにいるかを知っている」と述べ、モジタバ師の居場所を把握している可能性をにじませた。ただ、具体的な場所や健康状態については明らかにしなかった。
イラン政府はモジタバ師の生存を主張しているものの、本人はいまも公の場に姿を見せていない。先週、イラン国営テレビはモジタバ・ハメネイ師名義の声明を放送したが、本人の映像や写真は公開しなかった。このため、国際社会では、同師が空爆で負傷したのではないか、あるいはすでに死亡した可能性もあるのではないかとの見方まで取り沙汰されている。
◆ 戦争初日の指導部排除後も行方は依然不明
モジタバ・ハメネイ師は、戦争初日に米軍のミサイル攻撃で死亡したとされる最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師の息子だ。イラン強硬派の間では以前から有力な後継者候補とみなされており、戦争勃発後は事実上の最高権力者として浮上した。
しかし、戦争開始後、同師は一度も公の場に姿を見せていない。このため、中東諸国や西側の外交筋では、同師の生死を巡る情報が戦況を左右する重要な変数の一つとして注目されている。アッバス・アラグチ外相は、中東メディアのザ・ニュー・アラブとのインタビューで、「革命の指導者は健在で、情勢を完全に掌握している」と主張した。ただ、本人が直接姿を見せていない状況では、こうした発言だけで疑念を払拭するのは難しいとの見方も出ている。
◆ ロシアでの治療説など、憶測広がる
モジタバ師の行方を巡っては、さまざまな憶測が広がっている。一部の中東メディアでは、ウラジーミル・プーチン露大統領の指示で、モジタバ・ハメネイ師が秘密作戦によりロシアへ移送され、モスクワの病院で治療を受けているとの見方まで出ている。クウェート紙アルジャリーダは、イラン国内の情報筋の話として、同師がひそかにロシアへ移送されたと報じたが、主要な西側メディアによる裏付け報道は確認されていない。
戦時下では、こうした情報は真偽とは別に、心理戦に利用される可能性が高いとの分析も出ている。英バッキンガム大の安全保障専門家、アンソニー・グリース教授は「戦争では、情報操作と心理戦が重要な武器となる」としたうえで、「指導者の居場所や状態を巡る不透明さが増せば、相手陣営内部の混乱を誘うことができる」と指摘した。
◆ 「指導部排除戦略」…戦局左右する変数
軍事専門家は、今回の状況が、いわゆる「指導部排除」戦略の効果と関係している可能性があるとみている。指導部の生存状況が不透明になれば、相手の指揮系統を揺さぶり、内部の権力構造に混乱を生じさせる可能性があるためだ。
イスラエルは実際、戦争初日に排除したと主張するイラン指導部の一覧を公開し、心理戦を展開している。公開された画像には、アヤトラ・アリ・ハメネイ師をはじめ、アブドルラヒム・ムサビ軍参謀総長、モハンマド・パクプール革命防衛隊司令官ら、イラン軍・情報機関の中枢人物16人の名前が記されている。
戦争が長期化する中、モジタバ・ハメネイ師の生死を巡る情報とその行方は、中東戦争の今後を左右する重要な変数として浮上している。
















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