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「中東戦争の勝者は誰か」――米国でもイランでもない、“中国”とされる理由

竹内智子 アクセス  

引用:ニューシス
引用:ニューシス

中東戦争によって石油とガスの供給網が揺らぐ中、各国政府は衝撃に耐え得る電力網の整備を急いでいるが、その過程で中国技術への依存がさらに深まっているとの分析が出ている。

13日(現地時間)、米ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、再生可能エネルギーを基盤とする電力網の拡大が脱中東エネルギーの解決策として浮上している一方、現代の電力網に欠かせない主要部品の大半を中国企業が事実上押さえていることが明らかになったという。

報道によると、中国企業は太陽光パネルや高圧ケーブル、変圧器、電力貯蔵用バッテリーなど現代型電力網のほぼすべての主要部品の生産を主導しているとのことだ。中国は数十年にわたり数千億ドルをグリーンエネルギー産業に投じ、風力タービンや電気自動車用バッテリーといった自国市場の中核分野では外国企業との競争も抑えて国内企業を育成してきた。中東産の石油・ガスへの依存から脱しようとする動きが加速するほど、各国の中国製電力網設備への依存も強まっているとNYTは伝えた。

米国とイランが停戦に入り、ホルムズ海峡を巡る衝撃がやや和らいだとしても、今回の事態が各国政府に与えた警鐘はすでに大きいとNYTは指摘した。エネルギー不足に直面する国々が電力網の更新を急ぐ中、中国企業がその需要を取り込んでいるという。中国専門の調査会社トリビウム・チャイナのコリー・コムズ副部長は、今回の戦争が再生可能エネルギーへの投資と関心を一段と強く呼び起こす契機になっており、現時点では中国と競争するのは難しいと述べた。

実際に各国の動きも加速している。フィリピンは電力網の安定に向け、数週間以内に新たな再生可能エネルギー発電所22カ所を稼働させる案を進めていると明らかにし、ブラジルも3月末に新規発電所建設の入札を実施したのに続き、今月は大規模な蓄電池設備の入札も予告した。ブラジルで中国企業や国際企業の助言業務に携わるララリッサ・バシュールス氏は、ブラジルはこの分野の技術を必要としており、中国が貢献できる部分は多いとした上で中東戦争は世界がより多くのエネルギーを必要としている現実を改めて浮き彫りにしたと述べた。

問題はこうした流れが別の安全保障上の不安を生んでいる点だ。中国はすでにレアアースや太陽光パネルなどの主要品目で、多くの国にとって最大の貿易相手であり、支配的な供給国となっている。欧州など一部の政府は、こうした依存が経済安全保障や国家安全保障を損なう可能性があると懸念している。特に中国がこの1年間に一部レアアースの供給を大きく絞ったことで、警戒感は一段と強まったとNYTは伝えた。

電力網設備の需要はすでに急増している。中国企業が主導する電力網向け蓄電池の世界出荷量は、今年第4四半期にほぼ2倍に増えたとバンク・オブ・アメリカ・グローバル・リサーチのマッティ・チャオ研究員は明らかにした。チャオ氏は戦争が終わった後も各国はエネルギー網の拡充を続けざるを得ないと述べた。中国のバッテリー・再生可能エネルギー設備メーカーは拡大する需要に備え、香港で相次いで資金を調達し、海外進出の準備を進めてきたが、今回の戦争はその動きをさらに加速させたとNYTは分析した。

中国の強みは安価なハードウエアだけにとどまらない。バッテリーや送電設備に加え、エネルギーの流れを管理するソフトウエア分野でも中国企業の影響力が強まっているとNYTは伝えた。一部の政府が自国の電力網ソフトウエアへのアクセス権を中国企業に委ねることには警戒感を示す可能性があるものの、適切な低価格の代替手段が乏しいため、ハードウエアの購入は今後も続く公算が大きいとの見方も出ている。

特に中国はリン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)でも独走体制を築いている。この電池はニッケル・コバルト系の従来型リチウムイオン電池に比べ、同じ空間当たりのエネルギー密度はやや低いものの、コストは約99%安く、電力網向け蓄電分野で高い競争力を持つ。国際エネルギー機関(IEA)によると、中国は世界のリン酸鉄リチウムイオン電池をほぼ全量生産しているという。BYDとCATLがこの市場の二大勢力に挙げられている。

NYTは、中国企業によるエネルギー技術支配は巨大な内需市場と激しい国内競争の中で築かれたと評価した。中国は他国が追随しにくい規模で再生可能エネルギーと電力網インフラを整備しており、中国の習近平国家主席は昨年9月に風力・太陽光設備を2020年比で6倍となる3,600ギガワット(GW)まで拡大する計画も打ち出した。中東戦争は世界を一段と脱石油へと押し進めたが、その結果が中国中心の新たな電力秩序の強化につながる可能性がある点で波紋は小さくないとNYTは分析した。

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