
イランが米国に新たな終戦案を示したが、米国のドナルド・トランプ大統領は、事実上拒否に近い反応を見せた。イランは戦争を30日以内に終わらせるよう逆提案したものの、その内容には戦争被害の賠償、ホルムズ海峡の統制権、対イラン制裁の解除、米軍撤収要求まで盛り込まれており、終戦案というより、米国が受け入れにくい条件を一括して突き付けた格好である。
3日、ニューヨーク・タイムズやAP通信、イランのタスニム通信などによると、トランプ大統領は前日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に、イランが送ってきた案を近く検討すると投稿した。ところが、その直後には、その案が受け入れられるとは考えにくいとも書き込み、受諾には否定的な認識をにじませた。さらに、イランは過去47年間にわたり、人類と世界に及ぼしてきた行為に比べ、なお十分な代償を払っていないとも主張している。
◆ 30日以内の終戦を掲げたが、条件はさらに強硬
イランの新提案は、米国が提示した9項目の終戦案に対する回答に当たる。AP通信はイランメディアの報道を引用し、イランが仲介国のパキスタンを通じて、14項目の修正協議案を米国へ伝達したと報じた。米国は2か月の休戦を提案していたが、これに対しイランは、30日以内にすべての争点を解決して戦争を終結させるべきだと応じた。
表向きは早期終戦を打ち出した提案だが、中身はむしろ強硬だった。イランは、戦争被害への賠償、軍事侵攻の再発防止保証、イラン周辺地域からの米軍撤収、対イラン海上封鎖の解除、対イラン制裁の解除に加え、レバノンなどすべての戦線における戦闘終結まで求めたとされる。
とりわけ敏感な論点はホルムズ海峡だ。イランは同海峡に新たな枠組みを設けるよう要求しており、これは通航船舶を統制したり、通行料を徴収したりする権限の承認を求めたものと受け止められている。
ホルムズ海峡は、世界の原油輸送を支える要衝である。戦争前には、世界の原油のおよそ5分の1がこの海峡を通過していた。ニューヨーク・タイムズは、米海軍とイラン革命防衛隊がともに通航を強く制限したことで、ペルシャ湾一帯の物流が大きく細ったと伝えた。
◆ 海峡再開放に含みを残す一方、核問題は先送り
一方で、イランはホルムズ海峡を再開放できるとの立場ものぞかせている。ニューヨーク・タイムズはイラン高官の話として、今回の新提案では、交渉に先立つ条件として米国によるイラン船舶封鎖の解除を求めなかったと報じた。トランプ大統領が封鎖終了を宣言する前でも、海峡を開放できる可能性を示したという。
ただ、その再開放案にも条件が付いている。イランは今後、ホルムズ海峡を自国が管理できる法的、制度的枠組みを求めており、米国にとっては、国際水路に対するイランの統制権を認める要求と映る。
核問題も未解決のままだ。イランは、終戦または恒久停戦の成立後に核計画を別途協議する考えを示しているが、トランプ大統領はこれまで、イランの核兵器保有とウラン濃縮を阻止しなければならないと訴えてきた。これに対しイランは、平和利用を目的とした濃縮の権利を主張している。
トランプ大統領は軍事的圧力も緩めていない。前日、ホワイトハウスで記者団に対し、イランを完全にたたくために爆撃するのか、それとも合意を模索するのか、選択肢はその二つだという趣旨で語った。イランが誤った行動を取れば、攻撃を再開する可能性もあるとの認識を示した。
今回の提案は、膠着局面を打開するどころか、双方の隔たりを改めて浮き彫りにした。イランは30日以内の終戦を前面に掲げながら、賠償、米軍撤収、制裁解除、ホルムズ海峡の統制権承認まで求めた一方、トランプ大統領は検討する姿勢を見せつつも、受け入れには明確に距離を置いた。
休戦は維持されているものの、戦火再燃の火種は消えていない。イランは海峡再開放を交渉材料に主導権確保を狙い、米国は核放棄と海峡開放を先に迫る構えを崩していない。終戦案の名で示された文書が新たな対立点となり、米国とイランの協議は再び不安定さを増している。
















コメント0