
ドナルド・トランプ米大統領がイランの攻撃に反応していないことを受け、中東の湾岸諸国の間でイランが軍事行動を拡大させる可能性への懸念が高まっていると米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が5日(現地時間)に報じた。
米国がホルムズ海峡の船舶通航を支援する「プロジェクト・フリーダム」作戦を開始した後、イランはアラブ首長国連邦(UAE)に対しミサイルやドローンによる攻撃を実施した。しかし、トランプ大統領はこれを深刻視しない姿勢を示した。
このため湾岸諸国では、戦争からの早期離脱を志向するトランプ政権の姿勢を踏まえ、イランが今後も同盟国への攻撃をエスカレートさせる可能性があるとの見方が広がっている。
欧州やアジアの同盟国に加え、戦略的競合国も含め、各国はトランプ政権の対応を注視している。
2月28日の戦闘開始以降、イラン指導部は「米国に頼る者は守られない」との趣旨の発言を繰り返してきた。これはエジプトのホスニー・ムバーラク元大統領の言葉として知られる。
実際に4日のUAE攻撃を受け、中東の君主国の間ではこの見方に一定の現実味を感じるとの指摘も出ている。
イランはUAEの石油輸出拠点であるフジャイラを攻撃し、火災が発生、3人が負傷したとされる。攻撃には15発のミサイルと4機のドローンが使用された。
UAE政府が学校閉鎖などの措置を取る中でも、トランプ大統領は事態を軽微と受け止める姿勢を崩さなかった。ピート・ヘグセス米国防長官も5日、「停戦は維持されている」と述べた。
しかし、その後もイランによる攻撃は続いた。
UAEのシンクタンク研究員マフディ・グルーム氏は、現状について「イランは停戦が崩壊すると見ている一方、米国はそうではない。この認識のずれは一方的だ」と指摘した。
また、湾岸国際フォーラムのダニア・タファー所長は、2月以降にUAEなどが受けたミサイルやドローン攻撃の累計が2,800回を超えるとし「湾岸諸国から見れば、米国は自国の安全保障を軽視し、犠牲にしているように映る」と述べた。
さらに「米国が対応しなければ、イランは米国が再び戦争を望んでいないと判断する可能性があり、抑止力の低下につながる」と強調した。
欧州やアジアの各国政府の間でも、米国が同様の姿勢を他の地域でも取るのではないかとの懸念が出ている。
長期的には、米軍基地を提供した国々にとって、米軍駐留が安全保障上の資産なのか、それともリスクなのかという疑問が高まる可能性も指摘されている。
英国の元空軍准将であるエドワード・ストリンガー氏は「米軍基地は標的となるリスクを高めるだけでなく、最終的に米国が支援しない可能性を意識させる」との見方を示した。
一方、イラン側はホルムズ海峡の封鎖を長引かせることで、米国からより多くの譲歩を引き出せると見ている可能性がある。
イラン議会議長のモハンマド・バゲル・ガリバフ氏は「X(旧ツイッター)」で「我々はまだ行動を始めていないが、この状況の継続が米国にとって耐え難いものであることは理解している」と投稿した。
欧州外交評議会のイラン専門家エリー・ゲランマヤ氏は、イラン革命防衛隊の強硬派が従来の慎重路線を見直し、全面戦争には至らない範囲で軍事的圧力を強める方針に傾いていると分析する。
ゲランマヤ氏は「状況は変わった。戦略的忍耐は終わり、イランはもはや自制を優先しなくなっている」と指摘した。
















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