
かつてワールドカップ競技場の広告板を飾っていた日本企業が次々と姿を消した。JVC(日本ビクター)や富士フイルム、セイコー、ソニーなどがあった場所は中国や中東、韓国企業のものとなっていた。3大会連続で国際サッカー連盟(FIFA)ワールドカップ公式スポンサー名簿から日本企業が消えた理由は何かを探ってみる。
17日、朝日新聞は日本企業が1980年代から2000年代にかけてワールドカップスポンサーの中心勢力だったと報じた。当時、世界家電市場を席巻していたJVCは1982年から2002年まで、富士フイルムは1982年から2006年までFIFAのスポンサーとして活動し、セイコーは1978年から1990年まで4大会連続で公式タイマーを務めた。また、ソニーも2007年から2014年までFIFAの最上位スポンサーである「FIFAパートナー」として参加した。
当時の日本企業にとってワールドカップは、テレビやビデオ、カメラなどの電子製品が世界市場を広げていく時期にブランドを広め、取引先を確保するのに最も効果的な舞台の一つだった。しかし、2014年のブラジルワールドカップを最後に日本企業はFIFAスポンサー名簿から姿を消した。
朝日新聞は最大の理由として、企業の事業構造の変化を挙げた。実際、過去にワールドカップスポンサーの主役だった電子メーカーはテレビや家電など消費者向け事業を縮小し、半導体素材や産業インフラ、企業向けシステムなどB2B中心に事業を再編した。
一般消費者を相手にブランドを知ってもらうことよりも、企業顧客を確保することがより重要になり、ワールドカップスポンサーの意味も以前とは変わったのだ。
2002年と2006年のワールドカップスポンサーだった東芝が代表的な例である。東芝はその後、家電部門を中国企業に売却し、送配電設備や社会インフラ事業中心に再編した。かつての東芝テレビブランド「REGZA」は今もワールドカップマーケティングに活用されているが、現在の事業主体は中国のハイセンスである。
企業のブランド戦略も変わった。ソニーはテレビなど電子製品の販売のためのスポンサーよりもスポーツ技術事業に重きを置いている。FIFAと合弁会社を設立し、ビデオ判定(VAR)や試合データ分析事業を推進するのが代表的な例である。かつてはワールドカップを、ブランドを広める舞台として活用していたが、今は事業と直接つながる技術投資に集中している。
また円安も影響を与えた。ワールドカップスポンサー費用はドル基準で設定されるが、円の価値が下落することで日本企業が感じるコスト負担は小さくない。
この間、ワールドカップのスポンサー構成は大きく変化した。2026 FIFAワールドカップにはサウジアラビア国営石油会社サウジアラムコやカタール航空、中国のレノボやハイセンス、韓国のヒョンデなどが名を連ねた。
早稲田大学スポーツ科学学術院・准教授の大井義洋氏は朝日新聞に「かつて、日本企業は世界の舞台で存在感を示すことに価値を置いていたが、今は事業と直接つながる投資に集中している」と述べ、「ワールドカップスポンサー名簿の変化は日本企業の優先順位がどう変わったかを示している」と語った。














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