音速の10倍、迎撃が困難な「空母キラー」


中国軍は、最大2,500キロ離れた太平洋地域の米軍基地や空母を攻撃できる東風17(DF-17)極超音速ミサイルの発射場面を初めて公開した。中国国営の中国中央テレビ(CCTV)は20日、ロケット軍の実戦訓練を紹介する番組「軍情時間到」で、東風17が道路上の移動式発射車両から垂直に打ち上がる様子を放映した。「空母キラー」とも呼ばれる東風17は、2019年10月の中国建国70周年記念軍事パレードで公開された兵器である。台湾全域に加え、沖縄や第一列島線(日本列島―沖縄―台湾―フィリピン―マラッカ海峡を結ぶ線)の内側にある米軍基地にも脅威を及ぼし得るミサイルで、南シナ海と台湾海峡で軍事的緊張が続く中、中国が米国と台湾に向けて発した警告メッセージとみられる。
この日、CCTVに出演した中国の杜文竜軍事評論家は、「東風17の発射態勢が公開されたのは今回が初めてだ。複雑な地形や多様な妨害要因を克服して目標を攻撃できることを示すとともに、ロケット軍の実戦準備態勢が整っていることも示した」と評価した。CCTVは発射映像とともに、「ロケット軍の将兵にとって、高強度の複数軍種による統合作戦訓練が日常化している」と伝えた。さらに、新型装備の導入によって指揮系統を簡素化し、火力を集中させるまでの時間を大幅に短縮したと説明している。
東風17は、音速の10倍以上で大気圏上層部を滑空する中距離弾道ミサイルだ。一般的な弾道ミサイルのように予測可能な放物線を描いて落下するのではなく、水面を跳ねる石のように大気圏上層部を不規則な軌道で飛行するため、米国の既存のミサイル防衛(MD)システムによる迎撃は困難とされる。台湾有事で中国が東風17を投入した場合、台湾の指揮・統制施設や防空網に加え、沖縄など第一列島線の内側にある米軍拠点も攻撃対象となり得る。
特に、CCTVが東風17を固定式発射場ではなく道路上の車両から発射する場面を公開したことは、発射地点を秘匿したまま奇襲発射が可能であることを誇示する狙いとみられる。米国と同盟国が東風17の発射位置を事前に把握し、先制攻撃を加えることが難しいという意味だ。
今回の放送には、「グアムキラー」と呼ばれる射程4,000キロの弾道ミサイル、東風26が中国北西部のゴビ砂漠にある訓練場から発射される映像も含まれていた。中国の杜文竜軍事評論家は、東風26の弾頭側面にある小さな翼状構造に触れ、「この構造が減速と方向転換を助け、ミサイルが移動する目標を効果的に攻撃できるようにする」と説明している。2015年の軍事パレードで公開された東風26は、グアムや西太平洋の米軍基地を攻撃できる中国の軍事力を誇示する代表的な兵器として活用されてきた。
CCTVが東風17と東風26を並べて紹介したのは、中国が標的までの距離や性質に応じ、複数のミサイルを組み合わせて運用できることを誇示する狙いがあるためとみられる。台湾有事の際、中国は上陸作戦だけで決着を図るのではなく、米軍の支援を阻むため、周辺の米軍基地を足止めするミサイルによる圧力を主要な切り札とする可能性が高い。中国ロケット軍は近年、東風26D、東風31、東風61などの新型主力装備が部隊に配備され、常時訓練に入ったと明らかにした。
CCTVは今回の放送で、電子戦への対処、精密打撃の回避、複数軍種の連携、移動式発射能力なども強調した。米国との衝突を想定し、中国ロケット軍が生存性と奇襲性を高めることに注力しているようだ。














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