トランプ氏、欧州と対立続く…グリーンランド・関税・NATOに続きサッカーでも波紋

米国と欧州はグリーンランドの領有権や相互関税、北大西洋条約機構(NATO)の防衛費負担を巡って対立が続いているが、今度はFIFAワールドカップの試合が新たな火種となっている。
ドナルド・トランプ米大統領が国際サッカー連盟(FIFA)に米国代表FWフォラリン・バログンの退場処分の見直しを求め、その後FIFAが処分を覆したことが明らかになり、欧州各国から「フェアプレーの精神が損なわれた」と反発の声が上がっている。
これに対してトランプ大統領は自身のSNSトゥルース・ソーシャルで「正しい判断を下し、大きな不公平を正してくれたFIFAに感謝する」と投稿し、処分見直しへの関与を認めた。
この騒動はトルコの首都アンカラで開催されるNATO首脳会議を翌日に控えて浮上した。欧州各国首脳は防衛費増額計画を提示し、米国の安全保障への関与を維持することに注力する方針だが、トランプ大統領による「サッカー介入」が首脳会議の雰囲気に影響を及ぼす可能性もある。
騒動の発端は試合中のバログンの退場だった。バログンは今大会4試合で3得点を挙げる活躍を見せている。
バログンは2日に行われたボスニア・ヘルツェゴビナとの決勝トーナメント1回戦で、相手DFタリク・ムハレモビッチとの競り合いの中で足首を踏んだと判定され、主審はビデオ判定による確認の末、これを危険なファウルとしてレッドカードを提示した。
レッドカードを受けた選手は通常、次の試合が出場停止となる。しかし、トランプ大統領は先週、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長に電話し、処分の再検討を要請したとされる。その後、FIFAは6日にバログンへの1試合の出場停止処分を取り消し、バログンはベルギーとの決勝トーナメント1回戦に通常通り出場した。試合中の退場による出場停止処分が覆されるのは極めて異例と受け止められている。
欧州サッカー界には衝撃が広がった。
ベルギーサッカー協会は「処分を受けたバログンの出場を認めたFIFAの決定には驚きを禁じ得ない」とした上で「あらゆる対応を検討している」とコメントした。

イングランド代表のトーマス・トゥヘル監督も「誰が、いつ、どのような根拠で判定を覆せるのか。この問題はどこまで広がるのか。本当に理解できない」と批判した。
今回の騒動は最近続く大西洋同盟を巡る米欧間の対立の延長線上にあると受け止められている。
トランプ大統領は今年、NATO加盟国デンマークの自治領グリーンランドの編入を主張したほか、欧州各国に高率の相互関税を課し、防衛費増額を要求してきた。また、イラン戦争を巡る軍事対応では欧州の支援が不十分だと不満を示し、欧州駐留米軍の削減に言及したこともある。
専門家らは今回のサッカーを巡る騒動が直ちに米欧関係を揺るがすことはないとしながらも、トランプ政権に対する欧州側の見方をさらに悪化させる契機になる可能性があると指摘している。
ユーラシア・グループ欧州担当マネージングディレクターのムズタバ・ラフマン氏は米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)に対し「今回の出来事はトランプ大統領が規範や慣行に縛られず、あらゆる問題を『米国第一主義』の観点から判断する人物であることを、欧州各国政府に改めて認識させる契機になった」と語った。
また、ベルギーのシンクタンク・ブリューゲルのヤコブ・フンク・キアケゴール研究員は「欧州の政治指導者は今回の出来事をトランプ政権下の米国が法や国際的な規範による制約を以前ほど受けなくなっていることを示す新たな事例と受け止める可能性がある」と指摘した。
さらにキアケゴール氏は、今回の問題が長期的には、すでにトランプ大統領と距離を置き始めている欧州の右派指導者にとって、トランプ大統領と歩調を合わせることを一段と難しくする可能性があるとの見方を示した。














コメント0