ウォーキングは「量より質」…米研究で判明
ウォーキングの効果は「時間」よりも「スピード」によって左右されることが、米国の大規模研究により明らかになった。1日15分の速歩きで死亡リスクを約20%低下させる一方、3時間以上ゆっくり歩いても効果は限定的だった

米ヴァンダービルト大学、8万人超を16年追跡
米ヴァンダービルト大学のウェイ・ジェン(Wei Zheng)教授率いる研究チームは、研究チームは、南部在住の成人約8万人を対象に、平均16年間にわたってウォーキングの速度と死亡率の関係を調査した。結果は7月30日付の米専門誌「アメリカ予防医学ジャーナル」に掲載された。
速歩きは15分未満でも効果あり…ゆっくり歩きは有意差なし
ウォーキング速度は、「ゆっくり歩く(日常動作・ペット散歩など)」と「速歩き(階段昇降・運動を目的とした歩行)」の2つに分類。時間はそれぞれ複数の区分で分析された。追跡期間中に2万6,862人が死亡し、データを解析したところ、速歩きを1日15分未満行うだけで全死亡率が19%減少した。反対に、3時間以上のゆっくり歩きでは、死亡リスクはほぼ変わらず、統計的にも有意差は認められなかった。

心疾患の死亡リスクも27%減
速歩きは全体の死亡リスクだけでなく、米国の死因1位である心血管疾患による死亡率にも強い予防効果を示した。1日60分以上の速歩きを行う人では、そうでない人に比べ、心疾患による死亡リスクが27%も低下した。
低所得層の健康格差是正にも有効か
ウェイ・ジェン教授は、「速歩きは年齢や体力に関係なく、誰でも簡単に始められる健康習慣だ」と強調。「特に社会経済的に不利な層にとって、健康格差を是正する有効な介入策となりうる」と述べている。
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