
加齢とともに、朝食の重要性は高まっている。栄養摂取の在り方は、単なる体調管理にとどまらず、中年期以降の基礎代謝にも深く関与するためだ。
40代から50代にかけては、食事量を変えていないのに体重が増えるといった悩みや、体型の変化は避けられないとする見方が一般的だ。加齢に伴う基礎代謝の低下が、そのまま体重増加に直結するという理解が広く浸透している。
しかし、こうした従来の通念を覆す研究結果が、国際学術誌「Science」に掲載された。米デューク大学や京都大学などの共同研究チームは、生後8日から95歳までの約6,000人を対象に、1日の身体エネルギー消費量を測定した。その結果、代謝率の低下が始まる時期は30代から40代ではなく、60歳以降であることが明らかになった。体内の脂肪消費速度は、20歳から60歳までの成人期を通じて同水準を維持し、60歳を過ぎてから緩やかに低下するという。
同研究は、40代から50代で意識される体型の変化について、代謝の低下よりも食事内容や生活環境の変化による影響が大きいと結論付けている。現地の専門医は、「摂取量が少なくても、生活リズムの乱れや習慣の偏りがあれば、体重減少の妨げになる」と指摘する。さらに、中年層における肥満の主な要因として、睡眠不足や食事の乱れ、慢性的なストレス、長時間のデスクワーク、水分摂取の不足などを挙げている。
特に朝食は、中年層が1日の3食の中で最も重視すべき食事だ。朝食を欠くと代謝の立ち上がりが遅れ、生活リズム全体に悪影響を及ぼす恐れがある。専門家は「量にかかわらず、タンパク質と食物繊維を軸にした食事が、中年期の代謝管理の基本だ」と強調している。
一部の中年層では、減量を目的に朝食を抜いたり、1日の総摂取量を急激に減らしたりするケースが見られる。だが、こうした対応は逆効果になることが多い。体が「省エネ状態」に移行して代謝量が低下するためだ。朝食を含め、1日3食を適量で確保することが健康的な管理の基本となる。
栄養面では、タンパク質と食物繊維の摂取が重要だ。これらは血糖値の急激な変動を抑え、満腹感の持続に寄与する。レンズ豆や赤インゲン豆、ひよこ豆などの豆類は、タンパク質と食物繊維をバランスよく含んでいる。これに、タンパク質とオメガ3脂肪酸が豊富な食品を組み合わせるのが有効だ。具体例として、サーモン、サバ、卵などが挙げられる。オメガ3脂肪酸の摂取は、脳の活性化を助け、日中のエネルギー水準を安定させる。また、アーモンドやベリー類を加えたサラダは、抗酸化作用により加齢に伴う体の変化を抑える働きがある。
栄養管理と併せて、水分補給も重視されるべきだ。朝はコーヒーよりも先に、白湯を飲むことが推奨される。覚醒目的でコーヒーに頼りがちだが、過剰なカフェインは睡眠の質を損なう要因となる。医学的には、睡眠時間が8時間に満たない状態が続くと、甘いものや高カロリー食品への欲求が高まることが分かっている。これは食欲を調整するホルモンの分泌が乱れるためだ。水分摂取量の目安は、1日1.5リットル程度とされている。













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