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「変わらなければ基幹産業は終わる」トヨタ佐藤社長が日本自動車業界に突きつけた”存亡の宣告”

山田雅彦 アクセス  

引用:depositphotos*この画像は記事の内容と一切関係ありません
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国内の自動車業界は、中国企業の猛追、米国の関税問題、そして電気自動車(EV)市場の減速という「三重苦」に直面する中、生き残りをかけた大規模な協力体制へと転換している。

トヨタ自動車は、佐藤恒治社長(CEO)の体制を強化するため、新たに「最高産業責任者(CIO)」の職を新設し、業界全体の連携を主導する方針を固めた。ホンダと日産自動車も「もはや各社が個別に歩む余裕はない」として協力拡大に乗り出しているが、国内主要7メーカーのうち3社が純損失を記録するなど、危機感はかつてないほど高まっている。

16日(現地時間)、経済専門誌「ニッケイ・アジア(Nikkei Asia)」は、トヨタ、ホンダ、日産の役員らが今月の四半期決算発表において、一様に協力の必要性を強調したと報じた。トヨタは先月、日本自動車工業会(JAMA)の会長に就任した佐藤氏を支えるべく、CIOのポストを新設するに至った。

トヨタ側は、CIOの役割について「国際競争力を強化するための産業協力において、実質的なイニシアチブを加速させるニーズに応えるもの」と説明している。これは、佐藤氏のJAMA会長職および経団連副会長としての役割を補完するものといえる。

4月から近健太最高財務責任者(CFO)にCEO職を引き継ぐ佐藤氏は、記者会見において「我々が変わらなければ、日本の自動車産業はもはや基幹産業としての役割を果たせなくなる。その危機感を完全に共有している」と語った。また、「この分野が協力の場を模索し、日本としての勝利戦略を導き出すために団結しなければならない。トヨタ、ホンダ、日産、マツダといった各社が異なる道を選ぶ余裕がある時代ではない」と強く訴えた。

独走するトヨタ、苦戦を強いられる他社

佐藤氏が強い語調で語る背景には、トヨタの堅調な業績がある。トヨタは昨年、世界販売台数で過去最高の1,050万台を記録し、世界首位の座を維持した。長年にわたりハイブリッド車(HV)に注力してきた戦略が功を奏し、競合他社に比べて緩やかなEVシフトが、現在の消費者トレンドを正確に捉える形となった。

今月発表された4〜12月期決算も好調を維持した。売上高は前年同期比6.8%増の38兆円と過去最高を更新。北米での販売も13.5%増の230万台に達し、新型「カムリ」や「カローラ」、「RAV4」が米国のユーザーから高い支持を得た。

ただし、2025年初頭にトランプ米政権が日本車および関連部品への関税を2.5%から27.5%へ大幅に引き上げた影響を受け、営業利益は13%減の3兆1,900億円にとどまった(※7月の貿易協定により、9月から関税率は15%に緩和されている)。トヨタは昨年の販売台数の42%をHVが占めるなど、依然として「マルチパスウェイ(多重経路)」アプローチを堅持している。

一方で、ホンダはEV事業で多額の損失を被った。現在の収益は二輪車部門の成功によって維持されている状況だ。四輪事業は12月までの9か月間で1,664億円の営業損失を記録。米国で販売したEVを巡り、2,795億円の関税影響と2,671億円の一時費用が発生した。

ホンダ・日産、戦略修正が不可避に

2021年に就任したホンダの三部敏宏社長は、2031年までにEVおよびソフトウエア分野へ10兆円規模を投じる電動化戦略を推進してきた。しかし、カナダでの包括的なEVサプライチェーン構築計画の延期を余儀なくされ、昨年の7兆円規模の投資を30%削減すると発表するなど、計画の修正を迫られている。

貝原典也副社長は決算会見で、「根本的な戦略的構造改革を通じて、競争力を再構築しなければならない」と述べ、次年度の4月には修正された新戦略を発表することを約束した。

ホンダと日産は昨年2月、事業統合の議論が中断されるまで、合併寸前とも言える協力関係を模索していた。その後も日産の苦境は続いており、先週、自動車部門で2,341億円の営業損失(9か月累計)を発表したばかりだ。2万人の人員削減や工場の縮小といった急進的な構造改革には多大なコストを要したが、日産の内田誠社長(CEO)は、米国の関税影響下でも進展は見せていると強調。10〜12月期の営業利益が175億円に達した点に触れ、「関税後でも黒字化が可能であることを示している」と語った。

協力の枠組み拡大とスズキの躍進

自動運転や「SDV(ソフトウエア・ディファインド・ビークル)」といった先端技術で他国に追いつくべく、ホンダと日産は互いの枠を超えた連携を模索している。ホンダの貝原氏は「日産に限らず、他社ともウィンウィンの関係を築けるのであれば、その可能性を追求したい」とし、日産側もホンダをパートナー候補としつつ「価値を提供できる相手には常にオープンである」との姿勢を示した。

国内主要7メーカーのうち、日産、マツダ、三菱自動車の3社が4〜12月期で純損失を記録する中、スズキの躍進が目立っている。スズキの自動車事業の売上高は5%増の4兆1,000億円を記録。主要市場であるインドでは、前年同期比3.8%増の135万台を販売した。経済成長と税制改革を背景に、インドの消費者が二輪車から四輪車へと移行している恩恵を享受した形だ。

スズキの世界販売台数は前年比2.3%増の241万8,000台に達し、日産の225万7,000台(5.8%減)を上回った。ホンダの256万1,000台(9%減)にも迫る勢いを見せている。海外勢との競争だけでなく、今や国内の競合を脅かす存在となったスズキに対しても、ホンダや日産は強い警戒感を抱かざるを得ない状況となっている。

山田雅彦
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