
北朝鮮は8日午前、日本海上で複数種類の短距離弾道ミサイル(SRBM)を数発発射した。北朝鮮は有事の際、SRBMなどを用いて日本と韓国の空軍基地を攻撃すると予想されている。北朝鮮はロシアのウクライナ侵攻戦争でこれらのミサイルを供給し実戦経験を積んでおり、ミサイル技術が急速に向上しているため、米韓の防衛網を突破する可能性が懸念されている。
韓国軍合同参謀本部は「本日午前8時10分から9時20分まで、北朝鮮の元山市(ウォンサンシ)周辺から日本海上に向けて発射された様々な種類のSRBM数発を探知した」とし、「北朝鮮のミサイルは最大約800km飛行後、日本海上に着弾した」と発表した。試験発射されたミサイルの一部は250km前後を飛行し卵島 (アルソム)に命中、また350km飛行して卵島 から100km以上離れた地点に落下したという。咸鏡北道吉州郡(ハムギョンブクト・キルチュグン)沖合の卵島は、北朝鮮がSRBM試験発射の際に標的として使用する無人島だ。
韓国軍当局と専門家は、250~350kmを飛行したミサイルは超大型(600mm)ロケット砲のKN-25、日本方面へ800km飛行したミサイルは「北朝鮮版イスカンデル」と呼ばれるKN-23と推定している。試験発射は輸送起立発射機(TEL)から4~5回にわたって行われた。韓国合同参謀本部は「米韓情報当局は北朝鮮のミサイル発射準備動向を事前に把握し監視を続けており、発射時には即座に探知・追跡した」とし、「日米両国と関連情報を緊密に共有しており、詳細な諸元は総合的に分析中である」と述べた。
北朝鮮のミサイルが日本海方面に発射されたため、日本も即座に対応した。林芳正官房長官は「北朝鮮の行動は平和と安全を脅かし、国連安全保障理事会決議に違反する重大な問題だ」とし、「北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に厳重に抗議した」と述べた。NHKは、防衛省がこの日発射された複数の弾道ミサイルはすべて日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したと推定していると報道した。中谷元防衛相は「ミサイルの1発は午前9時20分頃に発射され、高度約100kmで約800km飛行して落下した」とし、「このミサイルは変則的な軌道で飛行した可能性があるため、引き続き分析中だ」と述べた。
北朝鮮は今年に入り、大陸間弾道ミサイル(ICBM)級の長距離ミサイルではなく、中・短距離弾道ミサイルを試験発射している。1月6日に中距離級の極超音速弾道ミサイル、1月14日にSRBM、3月10日に近距離弾道ミサイル(CRBM)の発射に続き、今回が4回目となる。短距離兵器を集中的に発射しているのは、ウクライナでミサイルを実戦投入して把握した技術的問題点を改善し、性能を向上させた結果を試験しているとの見方が出ている。韓国合同参謀本部の関係者はこの日、国防省の定例ブリーフィングで、北朝鮮の弾道ミサイル発射の意図について問われ、「一部の輸出を目的とした性能確認や飛行安定性を評価するための実験である可能性もある」と述べた。
一方、日米韓の3か国は、北朝鮮のミサイル発射に関して北朝鮮核問題担当の次官補級による電話会議を開き、評価を共有し協力方策を協議した。3か国は「北朝鮮の弾道ミサイル発射は国連安全保障理事会決議に違反するものであり、朝鮮半島と国際社会の平和と安定を深刻に脅かす」と非難した。