米国の信用格付けの引き下げが、従来の金融市場にとどまらず、仮想資産市場にも即座に波紋を広げた。

格付け会社ムーディーズは17日(現地時間)、米国の国家信用格付けを最上位の「Aaa」から1段階下の「Aa1」に引き下げたと発表した。
今回の措置は、財政赤字の拡大や利払い負担の増加、支出抑制に向けた政治的意思の欠如といった要因を理由に挙げている。
ムーディーズは、フィッチ、S&Pに続き、米国経済の伝統的な信頼性を象徴する「トリプルA」格付けを否定的に評価した3つ目の主要格付け機関となった。
発表直後、米国債の利回りは急上昇し、10年物国債の金利は4.49%まで上昇。同時に、S&P500先物は時間外取引で0.6%下落した。
仮想通貨市場もこの影響を免れなかった。イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)、ドージコイン(DOGE)など主要仮想通貨も発表直後に約3%下落し、投資家心理の悪化を示した。
仮想通貨市場全体の時価総額は3兆3,000億ドル(約477兆3,580億41万円)前後を維持したものの、週初めに記録した高値から一部下落し、全体として下落傾向に追随する展開となった。
仮想通貨市場アナリストのアレックス・クプチケビッチ氏は同日、コインデスクとのインタビューに応じ、「ビットコイン(BTC)は現在、10万4,000ドル(約1,506万円)を支持線として維持しているが、今後、反発前に一時的な調整が起こる可能性がある」と述べた。
さらに「売り圧力はまだ市場を完全に支配していないが、現在の価格帯の上限ではかなりの圧力が蓄積されている」と続けた。
クプチケビッチ氏の予測は的中した。19日(日本時間)午後3時30分時点のビットコイン価格は前日比0.83%下落し、1万2,600ドル(約182万5,297円)台で取引されている。
今回の展開は、2023年8月にフィッチが米国の信用格付けを「Aaa」から「AA+」に引き下げた際と酷似している。当時も米国債務への懸念が高まり、株式・仮想通貨の両市場で下落が見られた。今回のムーディーズの決定も同様に、市場全体にリスク回避の姿勢を呼び起こし、投資家心理を冷え込ませているとみられる。
ムーディーズの発表に対し、ホワイトハウスは即座に反応した。ドナルド・トランプ大統領陣営の報道官は、今回の決定が政治的に偏向した判断だと反発している。
一方で、専門家によると、「仮想通貨市場は信用格付け引き下げという客観的指標に敏感に反応しており、短期的な調整の可能性を排除できない状況だ。市場が再び上昇に転じるには、世界的なマクロ経済の安定化と投資家心理の回復が同時に進むことが不可欠だと指摘されている。