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2025年05月22日木曜日
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「反トランプ派」中道派が欧州で勝利!だが貧困とロシアの恐怖で「極右」の勢い止まらず

18日(現地時間)、欧州統合を強調する中道政治の勢力は、ルーマニア、ポルトガル、ポーランドで同時に実施された大統領・国会議員の選挙「スーパーサンデー(Super Sunday)」で全勝し、安堵の声を上げた。しかし、3か国全てで右派ポピュリズムの勢力も躍進しており、昨年から欧州を席巻している「極右旋風」は依然として続いていることが明らかになった。

引用:BBCニュース
引用:BBCニュース

ルーマニアでは昨年の11月と12月に実施された大統領選でロシアの介入があったとする憲法裁判所の判決を受け、選挙結果が無効となった後、6か月ぶりに大統領選の第1回投票が行われた。4日、親欧州派のブカレスト市長、ニクショル・ダン氏(55)は21%を得票し、極右の第1野党・ルーマニア人統一同盟(AUR)のジョルジェ・シミオン氏(38)に41%という2倍近い差をつけられた。しかし、この日の決選投票では54.1%を獲得し、45.9%にとどまったシミオン氏を8.2%差で上回った。

選挙情勢が逆転した決定的な要因は、ドナルド・トランプ米大統領の「アメリカ例外主義」に対する有権者の反感が高まったためだ。トランプ大統領はウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に継続的な圧力をかけ、ロシアとの和平交渉を強要してきた。

同じ東欧圏のルーマニア有権者の間では、「ウクライナの次は我々かもしれない」という不安感が広がっていた。対立候補のシミオン氏はトランプ大統領のスローガン「アメリカを再び偉大に(MAGA)」を模した「ルーマニアを再び偉大に(RAGA)」を選挙スローガンに掲げたが、結果的にこの戦略は裏目に出た。

1989年に独裁者ニコラエ・チャウシェスク氏を打倒したルーマニア国民は、再び親露の権威主義国家への回帰を阻止したのだ。ただし、これを極右勢力の没落と評価するのは早計だ。むしろシミオン氏が45%を超える支持率を確保したことで、極右勢力の侮れない政治力が確認されたとの見方が出ている。

引用:YouTube
引用:YouTube

欧州のもう一つの半大統領制国家であるポーランドでは、与党・市民プラットフォーム(PO)のラファウ・トシャスコフスキ氏(53)が大統領選の第1回投票で31.4%、右派ポピュリストの野党・法と正義(PiS)が支持する無所属のカロル・ナヴロツキ氏(42・29.5%)をわずかな差で上回り、ドナルド・トゥスク首相とアンジェイ・ドゥダ大統領との不協和音を伴う左右「共存」政権が終わるとの見方が強まっている。

ポーランドでは議会の多数派に属する首相が内閣を組織し実権を握るが、大統領も軍の最高司令官や法案拒否権、恩赦権など相当な権限を持つ。PiS側のドゥダ大統領は、大統領の拒否権を行使し、2023年12月に就任したトゥスク首相の改革を阻んできた。

2015年から10年間大統領職にあってPOを圧迫し続けてきたドゥダ大統領が退任し、トシャスコフスキ氏が大統領になれば、トゥスク内閣の司法改革と欧州連合(EU)との関係強化が加速すると見込まれる。2015年に初当選し再任中のドゥダ大統領は3選禁止により、今年8月に退任する。

欧州議会議員を務め、2018年からワルシャワ市長を務めるトシャスコフスキ氏は、中絶権の保障や性的マイノリティの人権保護などを掲げた。そして今回の選挙を西側リベラリズムと東欧型ナショナリズムの間の選択と位置づけた。

ただし、今回の第1回投票で極右民族主義傾向と評される自由独立連盟(KWiN)のスワヴォミル・メンツェン氏(38)は14.8%、さらに右寄りと評されるポーランド王冠連盟(KKP)のグジェゴシュ・ブラウン氏(58)は6.3%を得票した。合計21%超のこの2人への支持が決選投票で2位のナヴロツキ氏に集まれば、トシャスコフスキ氏の勝利は予断を許さない状況だ。

引用:CNN News 18
引用:CNN News 18

同日、ポルトガルでも3年ぶりに3度目の早期総選挙が行われ、ルイス・モンテネグロ首相の社会民主党(PSD)率いる中道右派の民主同盟が議会(定数230)で89議席を獲得し第1党となった。しかし、過去50年余りPSDと政権を分け合ってきた社会党が23.4%で第2党、極右民族主義政党のシェガ党が22.6%で第3党となり、それぞれ58議席を確保した。50年余り前にポルトガルで右翼独裁政権が崩壊して以来、極右民族主義政党が議会第3党に躍進したのは初めてのことだ。

モンテネグロ首相は昨年3月の早期総選挙で中道右派のPSDを率いて勝利し、中道右派の連立政権を発足させた。しかしその後、彼が設立した会社「スピヌンビバ(Spinumviva)」が政府事業に関連する顧客から利益を得ていたなどの不正疑惑が浮上し、世論は急速に悪化した。

ポルトガルの政治的不安定は長期の経済不況に起因している。ポルトガルは西欧で最も貧しい国の一つだ。ポルトガル統計局によると、昨年のポルトガル労働者の月平均給与は税引き前で1,200ユーロ(約19万4,791円)、今年の法定最低賃金は税引き前で月870ユーロ(約14万1,123円)だ。ポルトガル国民の生活水準が後退する一方で、非EU諸国からの移民は急増している。

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