
イーロン・マスク氏(テスラCEO)が、最近関係悪化が伝えられていたドナルド・トランプ米大統領との和解に向けた意志をにじませた。
米ブルームバーグ通信によると、マスク氏は5日、著名ヘッジファンド投資家ビル・アックマン氏のX(旧ツイッター)投稿に反応。アックマン氏が「私はトランプとマスクを支持する。二人は偉大なこの国のために和解すべきだ」と投稿すると、マスク氏は「あなたは間違っていない」と返信した。
ドラゴン宇宙船の撤退計画も撤回
両者の対立は、トランプ政権が連邦政府契約の見直しを示唆し、マスク氏がスペースXの宇宙船「ドラゴン」の撤退を表明するなど、激しい応酬へと発展していた。
しかし、Xユーザーから「二人ともそれ以上の人物だ。冷静になって数日距離を取ってみては」と促されると、マスク氏は「良い助言だ。ドラゴンを撤退させない」と応じ、事態のエスカレーションを避ける姿勢を見せた。
一方、トランプ氏も緊張緩和を図っているとみられる。この日、米政治メディア『ポリティコ』との電話取材で、マスク氏との関係について問われると「問題ない」と一言だけ答えたという。
ポリティコは、ホワイトハウス関係者がトランプ氏にマスク氏への公的批判を控えるよう働きかけており、6日には両者の電話会談を通じて関係修復を図る計画が進められていると報じている。
ブロマンスの終焉と軋轢の始まり
マスク氏とトランプ氏はかつて「ブロマンス」とも称される親密な関係を誇っていたが、先月30日、マスク氏がトランプ政権下で務めていた政府効率化部門(DOGE)トップの座を正式に辞任したことを境に関係が急速に悪化した。
発端は、マスク氏がトランプ氏の減税法案を公に批判したことにある。以降、両者は自らが運営するソーシャルメディア上で露骨な非難を繰り広げてきた。
トランプ氏は「マスクは狂っている」「非常に失望した」と発言し、マスク氏は「恩知らず」と切り捨てたうえで、「トランプ弾劾」を公然と支持する姿勢を見せていた。