ここ数週間、暗号資産ビットコインの価格は、緩やかな上昇傾向を続けている。
典型的な上下動を繰り返しながらも、全体としては強気相場への回復局面に入った様子だ。
特に今週初めの上昇は、イスラエルとイランの緊張激化により一時的な調整を受けたものの、全般的な楽観論は依然として維持されている。
こうした値動きは、過去のマクロ経済的な相関関係から見れば異例の現象といえる。
仮想通貨メディア「ニュースBTC」などによると、匿名のオンチェーン分析家であるダークフォスト氏（Darkfost）は最近、SNSのX（旧ツイッター）を通じて、この異常な価格動向の背景について説明した。
ダークフォスト氏は、従来ビットコイン市場で重視されてきたマクロ経済指標との関係を分析した。特に市場参加者は米ドル指数（DXY）と米国債利回り（5年・10年・30年物）を主要な参考指標としてきたという。
一般的に、DXYと国債利回りが同時に上昇すると、投資家はリスク資産から資金を引き揚げる傾向があり、これによりビットコインなどの資産は下落圧力を受けてきた。
ダークフォスト氏によれば、実際に仮想通貨の弱気相場は概してドル指数と利回りが共に上昇する際に現れたという。一方、これら二つの指標が下落するか、上昇ペースが鈍化する場合には、FRBによる利下げ期待が市場心理を刺激し、ビットコインを含むリスク資産への需要が増加する傾向があった。
しかし今回の上昇局面では、こうした従来の論理が当てはまっていない。ダークフォスト氏は、現在のビットコインの動きが、既存のマクロ経済的な相関関係から逸脱し、独自の軌道を描いていると指摘した。特に、国債利回りが歴史的な高水準に近づいているにもかかわらず、ビットコインが上昇している点で、この異常な動きが顕著だと述べた。ただし、この現象はドル指数の下落と連動する場合にのみ成立すると付け加えた。
この動向は、ビットコインが単なるリスク資産を超え、新たな価値保存手段として認識されつつあることを示唆している。ダークフォスト氏は、ビットコインが現在のマクロ環境下において、従来とは異なる反応を示しており、これが長期的には、この資産の位置づけを「デジタルゴールド」へと再定義する転換点となる可能性があると評価した。