
ロシアに派遣されたとされる朝鮮人民軍兵士の映像が、平壌(ピョンヤン)市民の前で初めて公開された。注目の場面は、6月下旬に平壌で行われた北朝鮮・ロシア間の文化交流イベント中に登場し、ウクライナ戦争における北朝鮮軍の存在を国内向けに視覚化した初の事例とみられている。
6月30日、『朝鮮中央通信』によると、金正恩国務委員長は平壌を訪問したロシアのオルガ・リュビモワ文化相と会談し、文化芸術分野における協力拡大を確認した。前日、両者は東平壌大劇場でロシア芸術団の公演を鑑賞。舞台背景には、クルスク地域とされる戦地で朝鮮人民軍兵士が北朝鮮の人共旗とロシア国旗を振る姿が投影された。
ロシア側からは、ピャトニツキー記念国立アカデミー民俗合唱団やグジェリ舞踊劇場の芸術家らが参加し、「アリラン」などの朝鮮民謡を披露。北朝鮮への「敬意」を示す形を取ったが、その舞台演出には軍事的象徴性が強く、国内外で注目された。
韓国統一部の関係者は「北朝鮮はすでにロシアへの派兵を公に認めているが、一般市民が戦地映像を目にする形で公開されたのは初めて」と指摘している。
この行事には金委員長の娘・金主愛(キム・ジュエ)も同席。リュビモワ文化相や駐朝ロシア大使アレクサンドル・マチェゴラ氏との会談にも付き添い、「外交実習」を思わせる振る舞いを見せた。主愛は5月にもロシア大使館の公式行事に出席しており、これが2度目の外交デビューとみられている。
一方、北朝鮮のスン・ジョンギュ文化相とリュビモワ文化相との会談も万寿台議事堂で行われ、ロシア文化省代表団は1945年の対日戦で戦死したソ連兵士を追悼する「解放塔」に花輪を献じた。ロシア側は当時の戦闘で約4万7,000人のソ連軍兵士が戦死・負傷したとしている。
注目の記事