
グローバルなテック業界で、AI研究者やエンジニアの獲得競争がかつてないほど熾烈になっている。OpenAIやMetaなどの大手企業が、トップクラスの人材を巡って巨額の報酬を提示し合う「引き抜き合戦」が繰り広げられている。
英『フィナンシャル・タイムズ』によれば、OpenAIの研究責任者マーク・チェン氏は社内通知を通じて「優秀な人材を評価し報いるため、報酬体系の見直しを進めている」と述べた。CEOのサム・アルトマン氏も先月、MetaがOpenAIの著名エンジニアに対し最大1億ドル(約144億円)の入社ボーナスを提示したと語っている。
Metaのマーク・ザッカーバーグCEOは、自社の次世代AI「ラマ4」が評価で期待を下回ったことを受け、AI人材の積極採用にシフト。AIスタートアップ「スケールAI」の株式49%を150億ドル(約2兆円)で取得したほか、創業者のアレクサンダー・ワン氏を迎えて「超知能AIチーム」を設立した。
OpenAI側も対抗措置として、社員にリフレッシュ休暇を導入し、Metaからのオファーを受けた社員と個別に面談するなど、流出阻止に乗り出しているという。
AI人材の報酬水準も急上昇中だ。専門人材紹介会社ハリソン・クラークによれば、ビッグ・テックAIエンジニアの報酬パッケージ(年収+ストック+ボーナス)は平均300万〜700万ドル(最大約10億円)で、2022年比で50%増。トップレベルでは1,000万ドル(約14億円)超に達することもあり、AIが生み出す「人材バブル」は今後さらに拡大すると見られている。
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