
米トランプ政権が国家安全保障と食品安全などを理由に、中国など「外国の敵対者(foreign adversaries)」の米国内農地購入禁止策を推進していると、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)やワシントン・ポスト(WP)など海外メディアが8日(現地時間)報じた。
米農務省のブルック・ローリンズ長官は同日、米ワシントンDCで開かれた記者会見で、政府が中国の投資家所有の既存の土地を回収するかとの質問に「あらゆる選択肢(every available option)を検討している」と述べ、ホワイトハウスからの大統領令が「まもなく(very soon)」発出されると答えた。さらに、米農務省(USDA)が州議会と協力し、追加の購入禁止法案を迅速に可決させる方針で、特に米軍基地周辺の土地に重点を置くと付け加えた。
ローリンズ長官は「本日の発表により、我々は米国の農地を取り戻した」と述べ、「米国の農業は単に国民を養うだけでなく、国家を守る(protecting our nation)役割を果たしている」と強調した。外国の敵対者による農地購入は研究データの窃取につながり、米国の脆弱性を生み出す外国の敵対勢力に対抗する手段であるという意味で「国家を守る」という表現を用いたとみられる。
米農務省の「米国農場安全保障計画」発表のための今回の会見には、ピート・ヘグセス米国防長官やパム・ボンディ米司法長官らも出席し発言した。WSJは同内容の記事で、米トランプ政権が中国に対し「農場立ち入り禁止(keep off the farm)」というメッセージを送っていると表現した。
WSJによると、米連邦議員や州議員らは長年にわたり、中国や他の一部の国々が米国の農地を利用してスパイ活動を行ったり、米国の食品サプライチェーンに影響力を及ぼしたりする可能性があると警告してきたという。最近、米国では空軍基地をはじめとする主要軍事施設周辺の農地が中国人や中国系企業によって大量に購入され、物議を醸している。
外国人が保有する米国の農地は2023年現在、約4,500万エーカー(約18万2,000平方キロメートル)で、米国の私有農地の約3.5%に相当する。特に中国人所有の法人が保有する米国内の農地は約30万エーカー(約1,214平方キロメートル)で、ロサンゼルス(LA)市の陸地面積とほぼ同規模だとWSJは伝えた。
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