「連邦準備制度全体の見直しが必要」米財務長官、全面調査を促す
トランプ大統領「パウエル解任論」再燃の中、高官らが連邦準備制度への圧力を強める

ベッセント米財務長官が、米連邦準備制度理事会(FRB)全体の再検討と包括的な調査の必要性を主張したという。
英紙フィナンシャル・タイムズによると、ベッセント長官は21日(現地時間)のCNBCとのインタビューで、「我々がすべきことは、FRBという機関全体を検証し、彼らがうまく機能しているかどうかを確認することだ」と述べたとのこと。
さらに、「連邦航空局(FAA)が同様の過ちを犯したとすれば、その原因を再確認することになる」とも強調している。
ベッセント長官のこうした発言は、ドナルド・トランプ米大統領がFRBに対し利下げを強く求める一方で、FRBがワシントン本部の空きビル改修に25億ドル(約3,689億9,486万円)を投じたことを問題視し、「パウエル解任論」が再び浮上している状況の中で出された。これはトランプ政権の高官らが中央銀行への圧力を一層強めていることを示している。
トランプ大統領は15日、ジェローム・パウエルFRB議長に対し「無能な物」と非難し、解任の可能性を示唆した。
16日には、共和党議員との非公開会合で「パウエル解任の書簡」を取り出し、意見を求める場面もあったという。
その後、物議を醸したことから「単に解任という概念について言及しただけ」と一歩引いたものの、「詐欺容疑があれば、彼は辞任せざるを得ないだろう」と発言している。
FRBによると、今回問題視されている建物は1930年代以降、改修工事を受けておらず、今回の工事費用は当初の予定を約7億ドル(約1,033億2,374万円)上回っているとのこと。
ホワイトハウス予算管理局(OMB)のラッセル・ボート局長は、予算の超過を指摘し、FRBの改修プロジェクトが深刻な管理不備に陥っていると批判している。
また、工事設計の変更があったにもかかわらず、FRBが国家首都計画委員会(NCPC)に適切な報告を行っていなかったと指摘する声も上がっている。トランプ政権がFRBを標的に、さらなる攻勢に出た形となっている。
これに対し、パウエル議長は「設計変更は一部あったが、政府機関に報告するほどの大きな変更ではなかった」と反論した。
現在、FRBは政策金利を4.25~4.5%に据え置いている。
労働市場が依然として堅調で、インフレ率もやや高い水準にあることから、利下げを急がない構えとみられている。
FRBはインフレ率の目標を2%に設定しているが、6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で2.7%上昇し、5月の2.4%を上回った。
これに対し、トランプ大統領は金利を3ポイント引き下げ、1%台までの利下げを求めているとされる。FRBが利下げに動かないことで、政府の債務負担が増していると主張する。
ベッセント長官はまた、「FRBは関税に対する不安感をあおっている」と批判し、「米国のインフレ率は良好な水準にある」と述べたという。
一方で、今月29から30日に開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利を現状維持するとの見方が優勢となっている。FRB内部でも、主要メンバーらが金利の据え置きに前向きな姿勢を示している状況だという。
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