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2025年07月28日月曜日
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【第3回米中協議】トランプの「ほぼ合意」発言、空回りか?中国がAIとレアアース規制で一歩も譲らず、関税休戦は延長へ

米国と中国は28日(現地時間)から2日間、スウェーデンのストックホルムで第3回貿易交渉を行う。スイス・ジュネーブ、英国・ロンドンでの会談に続く今回の交渉で、米国は中国の輸出主導型の過剰供給構造の改革を迫り、中国は高関税と技術輸出制限の解除を求めている。画期的な合意は難しいとの見方が大勢だが、来月中旬に終了予定の関税休戦を11月まで延長することには合意する可能性が高い。

米国のドナルド・トランプ大統領就任以来、関税戦争を繰り広げてきた両国は、第1・2回会談で報復関税の課税中止や輸出規制緩和などを主な争点とした。5月のジュネーブでは、米国の対中145%、中国の対米125%の関税を8月12日までにそれぞれ115%引き下げることで合意した。6月のロンドンでは輸出規制緩和で合意し、中国はレアアース、米国は半導体関連の輸出規制を一部解除した。

引用:AP通信
出典:AP通信

27日(現地時間)、ロイター通信と中国官営の環球時報などによると、今回の会談の焦点は中国の過剰供給と米国の関税になる見込みだという。米国はまず、中国が生産過剰を招く輸出依存型の経済体制を維持している点を指摘し、内需中心の経済体制への転換を迫っている。

スコット・ベッセント米財務長官は最近、フォックスビジネスとのインタビューで「中国は世界の製造業輸出の30%を占めている。これ以上増やすべきではない」と述べ、「これは持続不可能で、世界史上最も不均衡な経済だ。内需消費中心の経済への転換が必要だ」と強調した。

ロイター通信はこれについて「中国が内需中心経済に転換するには、長期化する不動産危機などの問題を解決し、消費を促進するための社会保障制度を拡充する必要がある」とし、「これは過去20年間、米国の政策立案者たちが目指してきたことだ」と指摘した。

中国政府もこうした認識の下、内需拡大のための補助金支給を行っている。しかし、デフレ(物価下落)の継続など構造的問題のため、改善は遅々として進んでいない。むしろ一部の地方政府や企業が産業育成のために無理な政策を展開し、過当競争と過剰供給を悪化させる逆効果が生じている。このため、中国が米国の要求を短期間で受け入れるのは難しいとの見方が支配的だ。

中国は米国の関税引き下げと先端技術輸出規制の緩和を重点的に要求する見込みだ。ロイター通信によると、中国は現在、基本関税10%とフェンタニル関税20%を合わせて30%の関税が課されている。

さらに、トランプ政権1期から維持されている米国通商法301条に基づく対中関税25%が一部品目に重複適用されている。このため、一部品目には最大55%の関税率が課されている。米シンクタンク・ピーターソン国際経済研究所(PIIE)によると、関税休戦後も中国産輸入品に対する米国の平均関税率は51.1%に達するという。

また、米国は人工知能(AI)半導体チップの対中輸出を貿易交渉のカードとして使っている。ジョー・バイデン前政権下では、NVIDIAの低性能チップの輸出が可能だったが、トランプ政権になってこれも遮断された。最近、再び輸出許可が再開されたものの、条件付き承認の形になっている。

引用:EPA通信
出典:EPA通信

中国・復旦大学米国研究センター副主任の宋国友氏は、環球時報に「米国の対中関税が依然として高水準であるため、今回の交渉では関税引き下げまたは撤廃の可否、そして新たな経済協力策についての議論が核心になるだろう」との見通しを示した。

中国・グローバル化センター(CCG)の上級研究員、何偉文氏も「今後の進展は、米国が中国の懸念にどう応えるか、特に高率・不公正関税の撤廃および先端技術分野の輸出規制緩和にかかっている」と分析した。

会談を前に両国は合意の意思を示した。中国共産党の機関紙「人民日報」は前日の論評で「中国は一貫して建設的な姿勢を保ち、対話と交渉を通じて問題解決を図ってきた」とし、「中国は誠意と原則を持って米国と協力し、今回のストックホルム会談を両国間の相互理解促進と信頼構築、協力強化の機会としたい」と述べた。中国国営の通信社である「新華社」も「両国の交渉努力は国際社会の期待に沿うものだ」とし、「困難はあるが、対話を通じた協力の模索が唯一の現実的な解決策だ」と強調した。

トランプ大統領はこの日、欧州連合(EU)との会談を前に「我々は中国との合意に非常に近づいている。事実上、中国との合意に達しているが、どうなるかは見守る必要がある」と述べた。

今回の会談で両国が根本的な対立を解消するのは難しいが、関税休戦を3か月延長することには合意する可能性が高い。香港紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)」は前日、情報筋の話として「米中は第3回貿易交渉で具体的な突破口を見出すのではなく、中国産業の過剰生産懸念など主要争点について見解を示す予定だ」とし、「来月12日に期限を迎える関税撤廃案を90日延長する見込みだ」と報じた。ベッセント長官も関税休戦延長への意欲を示していた。

一方、10月の韓国・慶州で開催するアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議を前に、トランプ大統領の訪中および米中首脳会談開催の可能性にも注目が集まっている。トランプ大統領は「中国訪問の可否をまもなく決定する」と述べており、今回の会談結果が今後の外交日程に影響を与える可能性があるとの見方も出ている。

米シンクタンクのアジア・ソサエティー政策研究所のウェンディ・カトラー副所長は、ロイター通信に対し「今回のストックホルム会談は、トランプ大統領の訪中および米中首脳会談への足がかりになる可能性がある」と評価した。

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