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「FRBを政治の道具にするな!」イエレン元財務長官、トランプ大統領の理事解任を「違法かつ危険」と猛非難

望月博樹 アクセス  

ドナルド・トランプ米大統領による連邦準備制度(FRB)への介入が、中央銀行を政治権力の道具と化し、米国の金融政策、さらには経済の安定と世界的リーダーシップを脅かしかねない。ジャネット・イエレン前米財務長官は27日付の英紙『フィナンシャル・タイムズ(FT)』への寄稿でこう警告した。

引用:BBC

イエレン氏は、トランプ大統領がリサ・クックFRB理事を解任したことについて「違法かつ極めて危険な行為」と非難し、「FRBの政治化、指導部への脅迫、そして金融政策を大統領の思惑通りに操ろうとする直接的な試みだ」と強調した。

イエレン氏はバイデン政権下で4年間、経済政策を統括する財務長官を務め、2014~18年にはFRB議長を歴任した経歴を持つ。後任が現在のジェローム・パウエル議長だ。

今回の解任についてイエレン氏は、住宅ローン詐欺疑惑を理由とするトランプ大統領の説明に対し「文書化された違法行為は存在せず、単なる疑惑は解任事由にならない」と反論。「大統領の主張は虚構であり、独裁的権力掌握を正当化する口実に過ぎない」と指摘した。

さらに「これは一理事の問題ではなく、脅迫の問題だ」と指摘。「FRB理事会の全構成員や連邦公開市場委員会(FOMC)に参加する地域連銀総裁に対し、『大統領の見解に異を唱えれば次はあなたの番だ』という脅しのメッセージを送るものだ」と警鐘を鳴らした。

イエレン氏は、FRBの独立性が損なわれれば「高インフレ、低成長、ドル安を招く」と警告した。トランプ大統領が最優先しているのは37兆ドル(約5,400兆円)に上る政府債務の利払い削減だが、その結果は「破滅的だ」と述べた。

「市場がFRBを政治的命令で動くと見なせば、あらゆる金利決定は信頼を失う。インフレ期待は不安定化し、ドルの基軸通貨としての地位は揺らぐ。投資家も同盟国も、米国にはもはや独立した中央銀行が存在しないと結論づけるだろう」と述べ、「皮肉にもこうした戦略は、インフレ期待と長期金利の上昇を招く可能性が高い」との見方を示した。

また歴史的教訓にも言及した。第二次世界大戦中、FRBが財務省の戦費調達を支えるため低金利政策を続けた結果、高インフレが生じたとし、「1951年にFRBと財務省の合意でFRBは物価安定と最大雇用に注力することとなり、議会もその任務を法的に付与した」と振り返った。

イエレン氏は最後に「FRBの独立性は単なるスローガンではなく、米経済の安定と世界的リーダーシップの基盤だ」と強調。「トランプ大統領が私益のためにFRBを破壊しようとするのは、無謀で腐敗した、極めて非米国的な行為だ」と厳しく批判した。

こうした強い論調の背景には、トランプ氏による度重なるFRBへの圧力がある。2期目の政権発足直後からパウエル議長に利下げを迫り続け、最近では矛先を個々の理事に広げ、利下げに前向きな人材で理事会を再編する姿勢を鮮明にしている。トランプ氏は前日、クック理事の後任を指名する意向を示し、「間もなく理事会で過半を確保する。金利をもっと下げるべきだ」と発言した。後任人事が実現すれば、7人で構成されるFRB理事会で、過半にあたる少なくとも4人が「利下げ派」となる見通しだ。

望月博樹
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