ロシア凍結資産「黄金の卵を産むガチョウ」
EU、2,100億ユーロ(約36兆円)の利子110億ユーロ(約1兆8,850億円)でウクライナ支援
凍結資産の超低リスク商品投資で利子収益が好調
ハンガリーが昨年7月、欧州連合(EU)の一般裁判所に対し、EU理事会と欧州平和基金(EPF)を相手取る訴訟を起こしたとこが明らかになった。ロシアの『リアノボスチ通信』は28日、EPFがブダペストの同意なしにロシア中央銀行の凍結資産から生じた利子をウクライナに送金したとして、訴訟を提起したと伝えた。

ハンガリーは、EU理事会が2024年5月に凍結ロシア資産の99.7%をEPFに送る決定を下したことや、EPF管理委員会が2025年2月にウクライナへの送金を決定したことに異議を唱えている。一方、EPF委員会は「紛争決定時、ハンガリーは拠出国でないため投票に参加できず、その票は反映されなかった」と説明している。
EPFはすでに110億ユーロ(約1兆8,850億円)をウクライナに送金しており、その大半は武器購入に充てられた。ハンガリーの訴訟が認められれば、送金は停止される見通しだ。逆に敗訴した場合、今後ハンガリーの拒否権は同様の方法で無効化される可能性がある。
ウクライナ戦争勃発後、EUとG7諸国は総額約3,000億ユーロ(約51兆4,000億円)のロシア資産を凍結。特にEU加盟国は2,100億ユーロ(約36兆円)のロシア中央銀行資産を凍結しており、そのうち1,830億ユーロ(約31兆3,600億円)がベルギーに本社を置く国際証券決済機関ユーロクリアに預けられている。
欧州は凍結ロシア資産を超低リスク商品に投資し、その利子収益でウクライナを支援してきた。2025年1月から7月までの送金額は110億ユーロに達する見込みだ。
一方、ロシアは西側による自国資産凍結を「窃盗行為」と非難し、報復的な制限措置を導入した。米国やEUなど非友好国の投資家の準備金と収益を「C型」特別口座に凍結し、この口座からの引き出しは特別政府委員会の決定にのみ認められる仕組みだ。
英紙『ザ・タイムズ』は、EUがウクライナの主張する「対ロシア最後の圧力カード」として凍結資産の差し押さえを受け入れるのは困難だと報じている。同紙は、ウクライナが完全な差し押さえを求めている一方で、資産問題には法的・政治的懸念が存在すると指摘。また、国際法上、資産差し押さえなどの直接措置は戦争当事国であるウクライナのみが行えること、ロシア資産差し押さえの法的根拠となる裁判所の賠償判決もまだ出ていないことを伝えた。
現在、ポーランドなど一部の国ではロシア凍結資産の元本まで差し押さえるべきだとの主張があるが、法的根拠がないとの反論が多い。国際法では各国中央銀行や通貨当局の資産は、差し押さえや没収などの強制執行から免除されている。
専門家は、ロシアの凍結資産の元本に手を付ければ、ロシアからの報復措置や法的紛争に巻き込まれる可能性があると指摘する。また、欧州市場の対外的信用を低下させ、外国人投資の縮小を招く恐れがあるとして警戒を呼びかけている。
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