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「男性乗客お断り」メキシコ“ガールズオンリー・タクシー”、人気の理由とは?

有馬侑之介 アクセス  

メキシコシティに登場、女性専用タクシーサービス
女性ドライバーが女性乗客向けに安全なサービスを開始
道路の危険から守る、安全な空間を提供

引用:CNN
引用:CNN

メキシコの首都メキシコシティで7年目のタクシードライバーとして働くルース・ロハス氏(49)は、毎日の出勤前に祈りを捧げる。「今日も悪いことが起きませんように。アーメン」。ロハス氏を含むメキシコの女性タクシードライバーにとって、仕事中の事故はそのまま生存に関わる問題だ。

メキシコでは毎年数千人が行方不明となり、集団埋葬地が次々と発見されている。こうした状況下で、女性がタクシードライバーとして夜間に働くことは、文字通り「命がけ」といえる。

カーシェアリングやタクシーで発生する残虐な殺人や性暴力事件は社会問題として注目されることも多い。女性ドライバーが走行中のタクシーから飛び降りたり、路上に遺棄されたり、乗客に性的暴行を受けたりするなど、女性を標的とした凶悪事件が新聞の一面を飾ることも少なくない。

9月23日(現地時間)、米『CNN』の報道によると、メキシコシティで最近、女性専用タクシーアプリサービスが注目を集めている。

ロハス氏は3年前、娘のカリーナ・アルバ氏(29)とともに、この事業を立ち上げた。女性ドライバーのみで構成される協同組合「アモラース(AmorrAs)」だ。名称は、スペイン語で「愛(amor)」と「女性(morras)」を組み合わせた造語で、より安全なタクシーサービスを求める人々の願いが込められている。

女性ドライバー・女性乗客のためのタクシー「アモラース」

アモラースは大手配車サービスと直接競合せず、所属ドライバーは23名で、全員が「ウーバー(Uber)」や「ディディ(DiDi)」にも登録しているタクシードライバーだ。ただし、ドライバーたちはアモラースでの予約を優先し、1kmあたり5ペソ(約41円)、1分あたり3ペソ(約25円)の定額料金制を採用している。

また、女性ドライバーたちは乗客を選ぶ際に細心の注意を払っている。男性客が呼び出した場所が犯罪多発地域、いわゆる「危険地帯(レッドゾーン)」の場合、そのリクエストを断り、代わりに比較的安全な地域にいる女性客からの呼び出しに応じる方式を取っている。

アモラースは単なる運送サービス業者ではなく、女性同士の連帯と保護の場としての役割も果たしている。一部のメンバーは弁護士や心理カウンセラーで、危機に直面した女性たちに無料相談を提供している。2023年以降、毎月平均100件以上のタクシーサービスが提供されており、アプリや電話での予約が可能だ。全ての車両はリアルタイムで運行状況が監視されており、道路上での危険を心配する必要はない。

こうしたサービスのおかげで、利用者のドゥルセ・ナバロ氏(41)は、毎月の帰省やコンサート後の帰宅時にアモラースを頻繁に利用している。過去に恐ろしい経験をしたため、バスや地下鉄の利用を避けているという。

ナバロ氏によると、昨年、地下鉄の女性専用車両で正体不明の人物に注射され、薬物を強制投与される事件に遭った。また、彼女の甥は2021年、バスに乗ったまま行方不明となり、最終的に空き地で遺体で発見された。

「望むのは『働く権利』、それだけ」

引用:Shutterstock*この画像は記事の内容と一切関係ありません
引用:Shutterstock*この画像は記事の内容と一切関係ありません

昨年12月、メキシコシティで女性タクシードライバーが勤務中に命を落とす悲劇が起きた。2人の子どもの母親で、ウーバーのタクシードライバーだったカルラ・パトリシア・コルテスさん(当時41歳)が運転中に銃撃され、死亡した。ウーバーの「緊急通報」機能やリアルタイム位置共有アプリも使用されていたが、彼女の命を救うことはできなかった。

最期の瞬間は住宅街に設置された防犯カメラに捉えられ、社会に衝撃と怒りをもたらした。映像には、車が止まり、銃声が響き、パトリシアさんの遺体とクマのぬいぐるみが歩道に置かれる様子が写っていた。容疑者は5時間離れた都市で逮捕されたものの、正確な犯行動機は依然として明らかにされておらず、起訴もされていない。

メキシコシティは今年8月、女性を標的とした犯罪に対応するため、警察の特別部隊を新設した。438人の警官が性犯罪予防パトロールや緊急対応、被害者の付き添い、家庭内暴力への対応などに配置され、さらに3,000人以上の警官がジェンダー意識向上研修を受ける予定だ。しかし、女性乗客やドライバーが行方不明になったり襲撃されたりする事例は依然として後を絶たない。2018年の国連女性機関の報告書によると、メキシコシティの女性の約9割が公共交通機関や公共の場で暴力を経験したと回答している。

多くの女性タクシードライバーは、「危険だから働くな」という言葉は女性を家に閉じ込めるだけだと語る。彼女たちは口をそろえて主張する。

「私はただ働く権利を信じているだけだ。仕事に出たからといって命を落とす理由なんてない。」

有馬侑之介
arimay@kangnamtimesjp.com

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