
中国の研究チームが、理論上、電気自動車の走行距離を2倍以上に伸ばしつつ安全性を向上させる「全固体電池」の研究成果を発表し、注目を集めている。
CCTVと香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)などによると、中国科学院傘下の物理研究所の研究チームが最近、特殊な接着剤の役割を果たす「ヨウ素イオン」を開発したという。
このイオンは電場に応じて電極と電解質の界面に移動し、リチウムイオンの通過を促進するとともに微細な隙間を自動的に埋め、電極と電解質の密着を実現する。この研究成果は、ネイチャーが発行する学術誌 『ネイチャー・サステナビリティー』 に掲載された。
固体電解質を使用する全固体電池は、現在広く使用されているリチウムイオン電池よりも安全であり、同じ重量で2~3倍のエネルギーを蓄えられるため、電気自動車の走行距離を1,000km以上に伸ばす夢の電池とされている。
しかし、電極と電解質の間の物理的な接触不良により、充放電過程で界面が割れたり膨らんだりして電流の流れが途切れる可能性があった。この問題がこれまで全固体電池の実用化を阻む難題になっていた。
SCMPは、中国科学院・物理研究所の研究チームが開発したヨウ素イオンを「液体シール(liquid seal)」に例え、「全固体電池の実用化を阻んでいた最大の難題を解決した」と評価した。ネイチャー・サステナビリティーに掲載された研究チームの論文によると、この技術で製作された試作品は数百回の充放電後も安定性を維持し、コスト削減効果も確認されたという。
CCTVは、ヨウ素イオン以外にも全固体電池の実用化を加速させる他の技術が最近発表されたと伝えている。中国科学院・金属研究所は、電解質に柔軟な骨格構造を挿入し、電池が数万回曲げられても損傷しない「柔軟変身術」を開発した。この技術によりリチウムイオンの蓄積能力が強化され、結果として蓄積容量が86%向上したという。
メリーランド大学のWang Chunsheng教授は、全固体電池が実用化への決定的な段階にあり、大規模実用化を加速させる潜在力を持っていると評価した。ただし、今後の研究ではエネルギー容量をさらに増やし、より過酷な条件下での安定性を検証する必要があると強調した。
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