
アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領が率いる「自由の前進(LLA)」が議会中間選挙で圧勝し、米国が条件付きで提示した400億ドル(約6兆874億円)の支援が現実味を帯びてきた。政界を筆頭に、米国全土で「なぜ我々の税金でアルゼンチンの財政危機を支援せねばならないのか」という論争が巻き起こっている。大半の人々、さらには共和党やドナルド・トランプ米大統領の支持層である農民の間でも不満が高まっている。
アルゼンチン財政支援への批判が最も激しいのは政界、特に民主党である。米国は米政府のシャットダウン(一時的な業務停止)により公務員が給与も受け取れない状況下、トランプ大統領が自身の政治同盟(ミレイ大統領)を救うために納税者の資金を投入したのである。
民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員は最近、JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックスなど、ウォール街の主要投資銀行に対して警告文書を送付した。ウォーレン議員は「今回の救済金融は、米国の外交および内政に重大な影響を及ぼしかねない問題である」とし、「ウォール街が納税者の資金で利益を得ることは決して容認できない」と警告した。
ウォーレン議員さらに、約200億ドル(約3兆429億円)の民間銀行による保証提供を含む救済金融パッケージへの参加を控えるよう求めた。彼女は「アルゼンチンの不安定な財政状態と担保不足を考慮すれば、銀行が200億ドル規模の投資基金に参加するのは健全性の観点から懸念される」と述べ、31日までに回答を提出するよう要求した。
与党である共和党内部でも反発が続いている。トランプ大統領の熱烈な支持者であるジョージア州選出のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員も「米国民が高物価、急騰する保険料、そして貯蓄のない現実に苦しむ中、400億ドルもの資金を外国に注ぎ込むのがどうして『アメリカ・ファースト』と両立するのか」と反論した。
トランプ大統領のコア支持層である農民からも反発が出ている。アルゼンチン支援のため、アルゼンチン産牛肉の輸入枠を既存の2万トンから8万トンへ4倍に拡大する案が農民層の怒りを買った。
共和党内部では、農業が主要産業である州選出の議員を中心に反発が強まっている。ウィスコンシン州選出のデリック・ヴァン・オーデン下院議員は声明で「アルゼンチン産牛肉の輸入は米国の畜産業を脅かす」とし、「食糧安全保障は、すなわち国家安全保障である」と批判した。
ケンタッキー州選出のランド・ポール上院議員も「今年も我々は2兆ドル(約304兆2,896億円)の赤字に苦しんでいる」と述べ、「アルゼンチンは我々と大豆輸出でも競合している」と反論した。これは、税金で米国の農産物輸出競争国を支援することに対する警戒の声である。
これに加え、アイオワなど農業州出身の議員らは「アルゼンチン農産物支援が逆に米国農業に害を及ぼし、米国民の納税による資金が南米の競争国へ流れることになる」と批判している。フィナンシャル・タイムズ(FT)やネイションなどの海外メディアも、米国には実益がなく、民間基金に参加して保証を提供したウォール街の投資銀行だけが利益を得るとの見解を示した。
22日(現地時間)にエコノミストとYouGovが実施した世論調査によれば、昨年の大統領選挙でトランプ大統領を支持した米国人のうち48%がアルゼンチン経済援助に反対していることが明らかになったという。賛成は30%にとどまり、22%は「わからない」と答えた。すなわち、トランプ大統領支持層のほぼ半数がアルゼンチン援助に反対している。
これに先立ちトランプ大統領は、南米の「重要な同盟国」とされるミレイ大統領への全面的支持を表明し、アルゼンチンの経済困難解消のため、最大400億ドル規模の経済支援を条件に「与党勝利」を掲げていた。また14日、トランプ大統領はミレイ大統領との首脳会談で、米国の金融・財政支援に関して「選挙で敗北すれば、アルゼンチンを助けるのは難しい」という、「外国政治の介入」にあたる可能性を示唆する発言をした。
トランプ大統領が今回のアルゼンチン選挙に介入した理由としては、政治・理念的に近いミレイ大統領を支持し、南米における友好的な政権を確保することで、中国などの影響力を抑制する意図があるとの見方が出ている。















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