コーヒー、カカオ、バナナ、牛肉などの関税を大幅引き下げへ
地方選で敗北のトランプ氏 物価安定に総力
生活に直結する食料品関税を削減し、高インフレ批判を鎮静化へ

米国のドナルド・トランプ政権が、アルゼンチンをはじめとする中南米4カ国との貿易協議で、生活必需品や農畜産物の関税を大幅に引き下げ、あるいは撤廃する方針を示した。現地メディアでは、今月の地方選挙で惨敗したトランプ陣営が物価対策を強化しているとの見方が出ている。
米『CBS』によると、米ホワイトハウスは13日(現地時間)、アルゼンチン、エクアドル、グアテマラ、エルサルバドルの4カ国と相互貿易の枠組みに関する共同声明をそれぞれ発表した。今後、米国はエクアドルからの輸入品に15%、その他3カ国には10%の相互関税を適用する。
ただし、一部品目については関税をさらに引き下げるか撤廃する予定だ。ホワイトハウスは同日、中南米4カ国から輸入する機械類、医療・ヘルスケア製品、情報通信技術(ICT)関連製品、化学品、自動車、特定の農産物、原産地規則を満たす繊維・衣料品などに対して関税を引き下げ、あるいは撤廃すると明らかにした。
トランプ政権高官は記者団に対し、「コーヒーやカカオ、バナナといった品目について、一定の前向きな価格動向の変化が期待できる」と述べた。「これらの価格は重要だ。米国では生産していないためだ」と強調した。また「関税の一部が消費者に転嫁されていたのであれば、今後は小売業者がその分を上乗せしないことを期待している」と説明した。現在、エクアドルはこれら農産物を米国に大量に輸出している。
同高官はアルゼンチン産牛肉にも言及し、「アルゼンチン産牛肉の輸入が自然に増えると見込んでいる。(米国内の)牛肉供給全体を満たすためだ」と述べた。トランプ大統領は7日、米国内の牛肉価格上昇を巡り、「食肉加工業者が違法な談合、価格協定、相場操作で価格をつり上げている」として、即時調査を指示していた。
トランプ政権の今回の合意は、米国内の物価高と、これに伴う地方選挙での惨敗を意識したものとみられる。『ニューヨーク・タイムズ(NYT)』は10日の報道で、トランプ氏が最近の物価上昇で政治的苦境に立たされていると指摘。共和党は4日に実施された東部の地方選挙で大敗しており、『NYT』は「昨年の大統領選で物価安定を掲げた共和党が、同じ公約を掲げた民主党に及ばなかった」と分析した。
『ワシントン・ポスト(WP)』、『ABCニュース』、世論調査会社イプソスが先月24〜28日に実施した調査では、回答者の71%が食料品価格が前年より上昇したと回答し、59%が物価高の責任をトランプ氏に求めた。
ホワイトハウスのケビン・ハセット国家経済会議(NEC)委員長は12日、関税協議が終了したのかとの質問に対し、「これは進行中のプロセスだ」と述べた。「ここ数日、人々は食品に対する関税の変更について話し始めており、(食品関税には)さらなる変更があると考えている」と語った。
同日、米財務省のスコット・ベッセント長官も『フォックス・ニュース』のインタビューで「米国で生産されていない品目について、今後数日以内に重要な発表がある」と述べ、「コーヒーがその一つで、バナナやその他の果物も含まれる。価格は早期に大きく下がることになるだろう」と強調した。














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