「オバマケア」補助金中断見通しで保険料急騰相次ぐ

「オバマケア(米医療保険制度改革法・ACA)」に対する補助金が中断される見通しとなり、米国の中間層を中心に健康保険料の負担が増している。
米紙「ワシントン・ポスト」は20日(現地時間)、具体的な事例を交えながら、オバマケアの補助金支給が打ち切られる可能性を前に、数百万人規模の米国家庭が深刻な経済的圧迫に直面していると報じた。
米ワイオミング州のスキーリゾート町アルタで、夫と2人の子どもと暮らすステイシー・ニュートンさんは、来年も家族全員がオバマケアを通じて健康保険を維持するためには、年間で約4万3,000ドル(約670万円)の保険料を支払わなければならないと語った。ニュートンさん一家が住む地域では、オバマケアで加入可能な保険商品は1種類しかなく、代替手段もないという。来年度の保険料は、夫婦の税引き前所得のおよそ3分の1に達する見通しだ。
ニュートンさんは「ワシントン・ポスト」の取材に対し「とても怖い。私たちは裕福でも貧困層でもない、ごく一般的な中間層の家庭だが、もはや健康保険料をこれ以上負担できなくなっている」と訴えた。同紙はニュートンさん一家の事例を踏まえ「これは米国の医療システム全体が抱える構造的問題を映し出す一例だ」と指摘した。さらに「一部地域で補助金が打ち切られるとの見通しがオバマケアの収益構造を不安定化させ、複数の保険会社が政府支援市場から撤退する事態を招いている」と分析した。
米国では、雇用主が提供する医療保険の適用を受けられない自営業者やフリーランスなどが、政府の財政支援を受けられる「オバマケア」の枠組みに基づく民間の健康保険商品を主に利用してきた。しかし米政府が、今年末をもってオバマケアの補助金支給を中断する方針を示したことで加入者だけでなく、保険会社にとっても大きな負担が生じる状況に直面している。
補助金の中断は、加入者が実際に負担する保険料の上昇につながり、保険料を支払えなくなった既存の加入者のうち、比較的健康な人々が先に保険制度から離脱する事態を招く可能性がある。その結果、加入者全体に占める割高な保険料を支払ってでも、保険を維持せざるを得ない、健康状態の悪い加入者の割合が高まり、保険会社が保険料をさらに引き上げるという悪循環が生じる恐れがある。こうした保険料の上昇は、人口が少なく医療費が高い農村部で、より顕著に表れるとみられている。
オバマケアの補助金終了が米国民に大きな衝撃を与えるとの懸念が広がる中、米議会でも対応策を巡る議論が続いている。ただ、民主党が主張する補助金の「延長案」と、共和党の「代替案」が対立しており、補助金は今年末で終了する可能性が高まっている。
トランプ大統領はオバマケアを「最悪の医療制度だ」と批判し、健康保険の補助金を保険会社に支給するのではなく、国民に直接支給することで、それぞれが望む保険会社を選択できるようにすべきだとの立場を一貫して示している。















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