
「JD・ヴァンス副大統領がマガ(MAGA・Make America Great Again)の真の後継者として推戴された」
アメリカのアリゾナで21日(現地時間)まで4日間開催されたターニングポイントUSAの「アメリカフェスト」の締めくくりを飾ったヴァンス副大統領について「ザ・タイムズ」はこう表現した。アメリカフェストはマガ支持者の年次集会で、先月ターニングポイントUSAのチャーリー・カーク代表が銃撃で死亡して以来初の大規模マガイベントだった。
カーク氏の「マガ帝国」後継者に指名されたヴァンス副大統領
熱烈な拍手の中、最後の演者としてステージに上がったヴァンス副大統領はマガの団結を呼びかけた。彼は「非難したり追放したりする保守派の名簿を持ち込んでいない」と述べ、「互いを排斥するよりもはるかに重要なことがある。カーク氏が命をかけた大義のために共に戦うと約束してほしい」と訴えた。
このイベントは「マガ内戦」を思わせる過激な発言や相互誹謗で汚れていた。右派論客ベン・シャピーロ氏がマガ系インフルエンサーのタッカー・カールソン氏を「反ユダヤ主義者」と非難すると、カールソン氏も「意見の異なる者を壇上から追い出そうとする試み」と反論するなど、マガ内部で互いを「詐欺師」や「インチキ」と誹謗し合う分裂の様相が露呈した。
亀裂修復に乗り出したヴァンス副大統領は「一部の党員が党内対立に落胆していることは承知しているが、熱い議論が交わされる活気ある政党は、議論を許さない画一的な政党よりも優れている」と強調した。「ポリティコ」は彼の演説がマガ支持者3万人が集まった今回のイベントの頂点だったと伝えた。

今回のアメリカフェストの焦点はカーク氏がマガに残した遺産を引き継ぐ適任者が誰かということだった。ターニングポイントUSAを率いるカークの妻エリカ・カークはイベント初日に「ヴァンスが第48代大統領に選出されるよう全面的に支援する」と宣言し、大きな歓声を浴びた。マガの若者層に大きな影響力を持つターニングポイントUSAは数千万ドルの資金動員力と現場組織力を有している。
現在、ヴァンス副大統領は次期大統領候補の支持率調査で他の共和党の有力候補を二桁差でリードしている。この日「CNN」が発表した世論調査でも、ヴァンス副大統領は共和党員と保守傾向の有権者の間で22%の支持率を記録したのに対し、マルコ・ルビオ国務長官は4%、フロリダ州知事のロン・デサンティス氏は2%にとどまった。次の大統領選まで3年も残っている状況でヴァンス副大統領はまだ出馬の意向を明らかにしていないが、最近トランプ大統領の党内掌握力の低下と相まって彼の次期候補説は急速に勢いを増している。
政治学者デイモン・リンカー氏は「トランプ大統領以降のマガ勢力統合の任務はヴァンス副大統領に託されるだろう」と述べ、「彼はトランプ大統領ほどのカリスマ性はないが、マガ内のすべての派閥との関係構築に不断の努力を重ねてきた」と「ニューヨーク・タイムズ」に語った。
「トランプ大統領は代替不可能…マガ結束の魅力不足」

しかし、ヴァンス副大統領が果たしてマガの求心点となれるかについては懐疑的な見方も少なくない。マガはファシズムを称賛する極右主義者から白人民族主義者、キリスト教原理主義者、アメリカ第一主義者、自由至上主義者など、両立困難に見える様々な派閥が勢力争いを繰り広げる陣営だ。
現代権威主義研究所のシカ・ダルミア所長は「マガを一つにまとめたのはトランプ大統領個人の天才的な能力だった」とし、「ヴァンス副大統領にはトランプ大統領のように個人崇拝の対象となる才能がない。トランプ大統領が魅力的な暴君なら、ヴァンス副大統領は魅力のない説教者」と述べた。そして「ヴァンス副大統領はトランプ大統領とは異なり『望ましいアメリカ』という特定の理想を実現しようとする理念家で、その過程でマガ支持層の一部を疎外することになるだろう」と語った。
マガと共和党内に君臨するトランプ大統領の「超越的地位」を考慮すると、トランプ大統領不在のマガは維持が困難だとの見方も出ている。政治学者シェリー・バーマン氏はニューヨーク・タイムズに「トランプは過去8年間、共和党を自分だけに忠誠を誓う追従の道具に変えた」と述べ、「トランプ大統領不在の共和党はキリスト教民族主義、経済的ポピュリズムなど様々な勢力に分裂する可能性が高い」と語った。
こうした弱点を熟知しているヴァンス副大統領が、マガ内の団結のために外部の敵である「移民」「左派」に対する憎悪をさらに煽る可能性があるとの懸念も出ている。CNNは「ヴァンス副大統領はメディアがマガを分裂させようとしていると非難したり、党に対する批判を民主党に転嫁し、アメリカ社会問題の原因として不法移民を頻繁に言及する戦略を取っている」と指摘した。













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