老朽化が深刻、現行施設で収容できるのは人口の3%のみ
国民の8割を守るフィンランドをモデルに整備検討

ポーランドが、ロシアからの脅威に備えて民間人を保護するため、防空壕の整備と強化に本格的に乗り出した。英紙フィナンシャル・タイムズが28日、現地時間で報じた。
ポーランドはロシアの脅威に対抗するため、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の中でも最高水準となる国内総生産(GDP)の約5%を国防費に充てるなど、軍事力の増強を進めてきた。一方で、これまで民間人保護への投資はほとんど行われてこなかった。
しかし、9月に正体不明のドローンが相次いで領空を侵犯したほか、先月にはロシアに取り込まれたとされるウクライナ人が鉄道を破壊する事件が発生するなど、ロシア発のハイブリッド工作の標的となる事例が続いた。こうした状況を受け、軍事分野に限らず民間防衛の重要性も強く認識されるようになった。
有事の際、防空壕の有無が民間人の生死を左右しかねないことから、ポーランド政府は来年以降、ほぼすべての新築建物に防空壕用のスペースを確保するよう、不動産事業者に求める方針だ。
ドナルド・トゥスク首相が率いる政権は、今年の国家予算から160億ズウォティを防空壕整備に充てることを決めた。首都ワルシャワをはじめとする主要都市も、既存の防空壕の拡充や改修に向け、独自予算を投入している。
ワルシャワでは、都市部の地下鉄を最大10万人が避難できる施設として活用する計画を進めており、簡易ベッドや飲料水、毛布などを備蓄する構想だという。
ただし、ポーランドに現存する防空壕の多くは共産主義時代に建設されたもので、老朽化が深刻とされている。実際に使用可能な防空壕は約1,000か所にとどまり、3,700万人に上る国民のうち、保護できるのは約3%にすぎない。
このためポーランドは、国民の約8割を収容できる5万か所の防空壕を整備している隣国フィンランドをモデルに、体制強化を検討している。
カロル・ナブロツキ大統領は9月、フィンランドの首都ヘルシンキ地下に設けられた6,000人収容規模の防空壕を視察した。カフェや遊び場のほか、バレーボールコートや体育館まで備えた施設を見学したうえで、こうした仕組みの導入はポーランドと国民にとって極めて重要だと強調した。
民間企業の動きも活発化している。ポーランドの建設会社アトラス・ウォードは昨年10月、防弾扉や換気システムを手がけるフィンランド企業テメトと合弁会社を設立し、防空壕建設事業に参入した。
テメトのユハ・シモラ最高経営責任者は、人口約560万人のフィンランドが現在の防護体制を築くまでに70年を要したとしたうえで、ポーランド全人口を収容できる防空壕網を整備するには相当な時間がかかるとの見通しを示している。
















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