
中国の通信機器大手ファーウェイとZTEを念頭に置いた欧州連合(EU)の排除圧力が一段と強まっており、これに対する中国側の対応に注目が集まっていると、香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が21日に報じた。
SCMPによると、EU欧州委員会は前日、ファーウェイとZTEの排除を事実上義務付ける新たな「サイバーセキュリティ法(Cybersecurity Act)」パッケージを公表した。
移動通信網で「高リスク供給業者」の機器使用を停止することを柱とする「5Gサイバーセキュリティ・ツールボックス」を法制化し、規制対象を5G以外の分野にも拡大した点が特徴だという。5Gサイバーセキュリティ・ツールボックスは5Gネットワークの潜在的リスクを低減するための技術的・戦略的な安全対策の指針とされている。
EUはこれまで、2020年から加盟27カ国に対し、自主的指針として5Gサイバーセキュリティ・ツールボックスの導入を求めてきたが、今回の措置で法的拘束力を付与し、違反した場合には加盟国に財政的制裁を科すことも可能にした。
こうしたEUの動きは、中国製通信機器を通じたスパイ活動の可能性を遮断し、欧州のデジタル主権を確保する狙いがあるとみられている。ウクライナ戦争の長期化を背景に、EUの対応姿勢がより強硬になっているとの見方も出ている。
EU欧州委員会は、昨年第2四半期に加盟国で発生した特定国家が関与したとみられるサイバー攻撃が前年同期比で22%増加したことを含め、昨年1年間で関連事案が77件に上ったと説明している。これによりEUが被った被害額は3,910億ドル(約61兆8,332億5,562万4,212円)規模に達したという。
ヘンナ・ビルクネン欧州委副委員長(技術主権・安全保障・民主主義担当)は「こうした脅威は民主主義や経済、私たちの生活様式に対する戦略的リスクだ」とし「新たなサイバーセキュリティ法パッケージはサイバー攻撃に対処するための手段を提供する」と強調した。
複数の海外メディア報道を総合すると、EUのサイバーセキュリティ法パッケージはファーウェイやZTEなどを事実上「高リスク供給業者」と位置付け、加盟国の通信網からこれら企業の機器を段階的に撤去することを義務付ける内容となっている。
特に通信事業者は高リスク供給業者リストの公表から36カ月以内に、当該業者の機器の中核部品を交換するよう求められる。
高リスク供給業者の指定基準には、サイバー攻撃やハッキングとの関連性の有無、EUレベルの安全保障評価で懸念が示されたかどうか、特定政府の行為に異議を唱える独立した司法制度や民主的監視体制が存在するかといった点が含まれる。これらの基準に照らすと、中国のファーウェイやZTEが事実上対象になるとの見方が大勢だ。
さらに、新サイバーセキュリティ法パッケージは5G通信網に限らず、太陽光エネルギーシステム、電力インフラ、セキュリティスキャナー、クラウド、ドローンなど国家安全保障と直結する18の中核分野全般で中国製機器の使用を規制する内容を盛り込んでいる。
SCMPは、EU加盟国がこの新法を根拠に中国をサイバーセキュリティや情報流出の高リスク国に指定した場合、ファーウェイやZTEにとどまらず、コネクテッドカー、電力・水道の供給・貯蔵、クラウドコンピューティング、医療機器、宇宙サービス、半導体分野などにおける中国企業の事業も制限される可能性があると指摘した。
SCMPは中国当局が「新たな生産力」の育成に注力している点を踏まえると、今回のEUの措置が中欧間の対立をさらに深めることになりそうだと見通している。
中国は第15次五カ年計画(2026年から2030年)期間に高品質な成長を実現するためには「新質生産力」が不可欠だと強調してきた。これはAI、ロボティクス、電気自動車、生命科学、新素材、デジタル化、脱炭素化といった先端技術と革新を基盤とする新たな成長の原動力を指す。
これまでEUの5Gサイバーセキュリティ・ツールボックスが自主指針にとどまっていたことから、スペインやギリシャなど一部加盟国では、性能の高さや価格の安さを理由に中国製機器を選好する動きも見られた。今回の新サイバーセキュリティ法パッケージに対するEU内部の反応が注目される。













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