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「最後の砦は消えた」米露核軍縮54年の終焉 世界は中国を止められなくなった

望月博樹 アクセス  

出典:AFP通信
出典:AFP通信

世界最大の核保有国である米国とロシア間の唯一の核軍縮協定である「新戦略兵器削減条約(新START)」が、延長の努力なしに15年ぶりに失効した。国際社会が核武装の「基準点」を制御する手段を失い、米露両国だけでなく中国と北朝鮮もこの隙をついて核武装を加速させるのではないかという懸念の声が上がっている。

ロイター通信などによると、新STARTは5日0時(グリニッジ標準時・日本時間5日の午前9時)をもって終了したという。2011年に発効した新STARTは、米露がそれぞれ実戦配備した大陸間弾道ミサイル(ICBM)と潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、戦略爆撃機に搭載できる核弾頭を1,550個に制限することが主な内容だ。核弾頭を運ぶことができるICBMとSLBM・戦略爆撃機の配備も700個に制限された。

米国科学者連盟によると、昨年10月時点で全世界には合計1万2,241個の核弾頭があると推定されているという。このうち約90%を米露が保有している。中国は2024年時点で約600発の核弾頭を保有していると推定されているが、米国防総省は中国の核弾頭数が2030年には1,000発、2035年には1,500発に増加すると見込んでいる。

当初の効力期間は10年だったが、2021年に米国とロシアが5年延長し、4日まで維持された。しかし、後続措置が講じられなかったため、結局今回完全に消滅することになった。米露間の核軍縮は1972年に弾道ミサイル発射台数を凍結する内容の「第1次戦略兵器制限条約(SALT1)」を皮切りに、1991年に戦略ミサイル保有数削減に合意した「戦略兵器削減条約(START)」、2011年の新STARTへと続いてきた。これで54年間続いた核兵器の制御装置に歯止めが外れたことになる。

米国とロシア間の核軍縮の制度的空白がかなりの期間続く可能性が高いとの見方が出ている。米国のドナルド・トランプ大統領は、中国が欠けた核軍縮合意はもはや意味がないとの立場だ。マルコ・ルビオ米国務長官は4日、「(トランプ)大統領は21世紀の真の軍備管理は中国の膨大で急速に増加する核備蓄量を考慮しなければ不可能だと明言した」と述べた。

米露間の二国間協定を超えて、中国を含む新たな核軍縮の枠組みが必要であることを明確にした。これに先立ち、トランプ大統領は先月8日、ニューヨーク・タイムズ(NYT)とのインタビューで新STARTに関して「満了すればそれきりであり、より良い合意をする」と述べ、「プレイヤーを数人追加する」と語った。既存の二国間協定を超えた多国間枠組みの構想を示唆した発言と受け取れる。

しかし、新たな軍縮協定の締結までの道のりは険しいものになると予想される。米国は中国の協定参加を強く求めているが、ロシアは英国とフランスも交渉のテーブルに出るべきだと主張している。一方、中国政府は「中国と米国の核戦力は同等のレベルではない」とし、「現段階で軍縮交渉への参加を求めるのは公正でも合理的でもない」と主張した。

さらに、北朝鮮が、米国の防御網を突破できる能力を証明しなければ核抑止力はもちろん、交渉カードとしての核兵器の有用性を維持できないと判断し、核兵器庫をさらに増やそうとする可能性があるとの見方が示されている。この日、米ワシントンD.C.に本部を置く軍備管理・不拡散センターは「今やロシアと米国の両方が核兵器の再拡張に障害がなくなった。我々は再び冷戦時代を生きることになるかもしれない」と指摘した。

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