塗料・プラスチック生産に影響も…原油・ガス供給不安も拡大
中国がイラン・イスラム革命防衛隊(IRGC)によるホルムズ海峡封鎖の影響で、石油や天然ガスだけでなくメタノールの不足にも直面していると、香港紙のサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が4日報じた。

米国とイスラエルの攻撃に対抗するイランの海峡封鎖が長期化した場合、中東からの原油・ガス輸入依存度が高い中国では各種産業の必須原料であるメタノールの供給不足が生じる見通しだ。
石油やガスを原料に生産されるメタノールはホルムアルデヒドや酢酸、オレフィンなど基礎化学製品の主要原料であり、塗料や接着剤、プラスチックの製造に使用される。
中国は気候変動対策の一環として、ここ数年で化石燃料の代替エネルギーとしてメタノールの使用を拡大してきた。
シンガポールに拠点を置くアジア太平洋経済研究所のラジブ・ビスワスCEOはSCMPに対し「中国は世界最大のメタノール生産国だが、国内需要を満たすには毎年相当量を輸入する必要がある。ホルムズ海峡封鎖が長期化すれば相当な支障が生じるだろう」との見方を示した。
イランは中国に次ぐ世界第2位のメタノール生産国であり、生産分の多くを中国に輸出している。
中国税関総署の統計によると、昨年はイスラエルとイランの対立や米国による対イラン制裁強化の影響でイラン産メタノールの対中輸出量は81万4,691トンにとどまり、前年の147万トンに比べてほぼ半減した。
中国は西側諸国と距離を置くイランと緊密な関係を築き、メタノールも比較的安価に調達してきたが、昨年は中東情勢の悪化により困難に直面した。
そのような状況の中、中国は昨年、サウジアラビアから329万トンのメタノールを輸入した。中国はイランとサウジアラビアのほか、アラブ首長国連邦(UAE)、オマーン、マレーシア、トリニダード・トバゴなどからもメタノールを輸入している。
中国の原油・ガス先物会社ギャラクシー・フューチャーズの張孟超アナリストは報告書で「イランのメタノール輸出は昨年12月以降鈍化し、中国向け輸出量も急減した」とし「中国国内の港湾におけるメタノール在庫も徐々に減少し、先月末時点で147万トンにとどまった」と分析した。さらに「市場心理の不安が広がり、中国北西部ではメタノール現物価格が大幅に上昇し、供給不足への懸念が強まっている」と付け加えた。
中国の経済データ分析会社Windの統計によると、中国国内の供給不足懸念を背景にメタノールの現物価格は前日時点で1トン当たり2,420元(約5万5,000円)となり7.41%上昇したとのことだ。
米国とイスラエルによる攻撃開始から2日後の今月2日、イランは世界の原油および液化天然ガス(LNG)の約20%が通過するイラン南部のホルムズ海峡を封鎖した。同日、カタール国営エネルギー会社はLNG生産を停止し、サウジアラビアもイランのドローン攻撃を受け、国内最大の製油施設の操業を停止した。
中国は公には認めていないものの、石油やガスの供給を強く懸念しているとみられる。
中国税関総署によると、2024年に中国は国内原油消費の75%を輸入に依存し、そのうち44%を中東からの輸入が占めたという。特にイランの原油輸出の約80%を中国が購入している。
米国とイスラエルが強度の空爆を続け、イランが中東地域の米軍基地攻撃を名目に周辺国への攻撃で対抗する中、事態が長期化すれば中国も深刻なエネルギー不足に陥るとの見方が出ている。

こうした中、中国国内では年初のベネズエラに続きイランに対する米軍の軍事行動が中国のエネルギー供給不安を招いているとして米国を批判する声が強まっている。同時に、化石燃料依存を減らそうとする動きも加速しているとSCMPは伝えた。
フィンランドに拠点を置くエネルギー・クリーンエア研究センター(CREA)のセン・シン研究員は「今回のイラン情勢のような地政学的緊張は、輸入化石燃料への過度な依存が中国の脆弱性であることを改めて浮き彫りにしている」とし「こうした混乱はエネルギー安全保障をグリーン転換と結び付けようとする中国当局の取り組みを一層強化するだろう」と指摘した。
実際、中国は昨年10月に公表した第15次5カ年計画で風力・太陽光・水力・原子力によって化石燃料発電を段階的に代替していく方針を示している。
また中国当局は先月23日、チベット自治区メトク県のヤシャ水力発電所のほか、中国北部での風力・太陽光発電基地の開発を加速させる計画を明らかにした。














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