
イラン戦争の影響により、世界の主要石油会社が数十億ドル規模の売上損失を被る見通しだと、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が22日(現地時間)に報じた。
同紙によると、過去10年間、欧米の石油大手は新規油田の探査を抑制する一方、中東の産油国との既存パートナーシップに一層注力し、巨額の利益を上げてきたという。しかしその結果、地政学的リスクへの依存度も高まったと指摘している。
カタールのラアス・ラファーン工業都市(RLIC)にあるガス液化施設「パールGTL(Gas to Liquid)」は深刻な被害を受けた。同施設の全株式を保有する英シェルは、復旧に約1年を要するとの見通しを示した。
約200億ドル(約3兆1,800億円)が投じられた同施設は、天然ガスを液体石油製品へ転換する世界最大級の設備で、シェルにとって最も収益性の高い資産の一つとされている。
シェルはこの他、今回の戦争で被害を受けていないカタールの液化天然ガス(LNG)生産ラインの持ち分(30%)も保有している。米金融大手ゴールドマン・サックスによると、ホルムズ海峡を通過する原油・ガス関連事業は、シェルの営業利益の約8%を占めているという。
米エクソンモービルは、原油・ガス総生産量の約5分の1を中東地域に依存している。
ラアス・ラファーンの天然ガス施設が損傷したことで、エクソンモービルは年間約50億ドル(約8,000億円)の売上損失を被る可能性があり、施設の完全復旧には最大5年を要する可能性があると、カタール国営エネルギー企業カタールエナジーは試算している。エクソンモービルの昨年の総売上高は約3,330億ドル(約52兆8,800億円)だった。
同社は現在、カタールでLNG液化ライン9基およびLNG運搬船27隻に出資しているほか、ペルシア湾の海上ガス・油田「ノースフィールド」拡張事業にも持ち分(6.25%)を保有している。
また、サウジアラビア西部の紅海沿岸にあるアラムコとの合弁製油所「SAMREF(サムレフ)」のパートナーでもある。イランは先週、この施設を攻撃対象に挙げたが、被害は発生していない。さらにエクソンモービルは、アラムコなどと石油化学製品を生産する5件の合弁事業も展開している。
米シェブロンはイスラエル沖の大型ガス資産を運営しているが、イラン戦争勃発後、この施設の操業を停止している。
米コノコフィリップスもカタールのガス資産に出資している。
一方、イラン戦争開始後も石油大手の株価は上昇しており、エクソンモービルが5%、シェブロンが8%、シェルが9%、コノコフィリップスが12%とそれぞれ上昇した。中東地域における生産や輸送のリスクよりも、国際原油価格の急騰が市場に強く織り込まれた結果とみられている。
















コメント0