
「イラン新政権の大統領が米国に停戦を求めてきた」(ドナルド・トランプ米大統領)
「嘘であり根拠もない。米大統領の滑稽な行動だ」(イラン外務省報道官)
トランプ大統領が連日、イランとの戦争を終わらせる意向を強調する中「戦争の終結」を巡って双方の立場に微妙なずれがあるとの見方が出ている。「停戦」か「終戦」かを巡り、異なるメッセージを発しているためだ。
「停戦」には「虚」と反発…「終戦」には含み
まずイランは米国側による「停戦」への言及に強く反発している。トランプ大統領が1日(現地時間)自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で「停戦要請を受けた」と明らかにしたことに対する反応がその典型だ。イランのアッバス・アラグチ外相はイラン国営放送を通じ「イランは停戦の条件すら示していない」とし「侵略者である米国とイスラエルが処罰され、イランに全面的な賠償が行われるまで戦争は続く」と述べた。
一方で「終戦」の可能性には含みを残している。イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は前日、欧州連合(EU)の欧州理事会議長アントニオ・コスタ氏との電話会談で「米国とイスラエルによる攻撃が再発しないという確実な保証が整えば、戦争を終わらせる意思がある」と語った。対外的に強硬姿勢を示しているアラグチ外相も米ホワイトハウスの中東担当特使スティーブ・ウィトコフ氏から「メッセージを受け取っている」と述べ、米・イランの高官間で水面下の接触が続いていること自体は認めた。
ペゼシュキアン大統領はこの日も米国民に宛てた公開書簡で「対立の道を進み続けることは、これまで以上に代償が大きく無意味なことだ」と述べ、戦争終結への意欲をにじませた。また「米国がイスラエルの代理人として、イスラエル政権の扇動によってこの侵略に加わったのではないと言えるのか」とも語り、米国とイスラエルを切り分けて対応する考えを示唆した。

指導部の混乱と再攻撃への警戒感、停戦を避ける背景か
公式には停戦の可能性を否定しつつ、終戦への意思は示しているイランの対応について、一部の海外メディアはイラン国内の意思疎通や軍の指揮系統が大きく損なわれているためだと分析している。米国とイスラエルによる空爆でイラン指導部の要人が相次いで殺害または交代に追い込まれ、内部でも連絡を取りにくい構造になっているという見方だ。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)は先月30日、イランの主要な軍事・民政の政策決定者同士をつなぐ連絡網の大半が途絶え、生き残った関係者も空爆の標的になることを恐れて、電話や対面での接触を避けていると報じた。NYTは米国と接触しているイランの交渉団でさえ、自国政府が何を譲歩する用意があるのか、誰に確認を取るべきなのか把握できていない可能性があると伝えた。
ただし、米国が態勢を立て直した後に再び攻撃に踏み切ることへの警戒感から、イランが停戦を選択肢から外しているとの見方もある。ペゼシュキアン大統領が終戦の条件として「米国とイスラエルによる攻撃が再発しない確実な保証」を挙げたのも、そのためとみられる。これに先立ちイランは、敵による侵略と暗殺の停止、戦争の再発防止、戦争被害に対する賠償など5つの終戦条件を掲げていた。このうち、戦争再発防止を最も重要な条件として前面に出した形だ。
トランプ大統領が1日「かなり早い段階でイランから手を引く」と述べる一方で「必要であれば精密攻撃のために再び戻ることもできる」と語った点もイラン側が警戒している部分とみられる。トランプ大統領はイランが保有する濃縮ウランについて「地下深くにあるので気にしていない」としながらも「衛星で常時監視する」とも述べた。イランへの攻撃再開の可能性を完全には排除しなかった形だ。
停戦になるのか、終戦に向かうのかは見通せないものの「戦争の終結」に向けた米国とイランの交渉は続くとみられる。AP通信はこの日、複数の匿名筋の話として、米政府関係者がイランとの戦争終結に向けた外交交渉を進めるため「イランの外相と国会議長が暗殺の標的にならないことを確実に保証した」と報じた。ロイター通信も「イラン指導部の2人が米国とイスラエルの暗殺対象リストから外された」と伝えた。














コメント0