
中東で相次いだミサイル攻撃が最終的に西側内部に影響を与えた。短期間で消費された迎撃ミサイルの数は年間生産量を上回る水準に達し、その影響は欧州各国の判断にも変化を及ぼしている。

「5日間で800発」…パトリオットでは対応しきれず
イランによる空爆以降、迎撃ミサイルの使用量は急増し、特にパトリオットが集中的に投入された。わずか5日間で約800発が使用されたとされ、この数字は年間生産量を短期間で上回る規模だ。在庫の減少ペースは想定を大きく超え、追加供給も追いつかない状況となった。数字がその限界をそのまま示した格好だ。
欧州の反応に変化…「もう提供できない」
こうした中、欧州の姿勢にも変化が出ている。これまでのような供給を期待するのは難しいとの見方が広がった。米国が欧州向け割当量まで中東に回そうとすると反発が起きた。スイスは代金支払いを停止する措置に踏み切った。単なる抗議にとどまらず、実際の行動に移した事例であり、欧州内部の不満が表面化した形だ。雰囲気が以前とは一変した。

揺らぐ米国依存…独自生産へ転換
欧州連合(EU)は方針転換を進め、防空ミサイルの域内生産拡大に言及した。単なる構想ではなく、必要に迫られた選択といえる。外部供給だけでは対応が難しいとの認識が強まっているためだ。特に戦時下では供給の遅れが致命的になりかねない。供給源が一つに偏った構造そのものが問題視され、自力確保の必要性が急速に浮上している。
現実は厳しく…欧州生産の限界も
しかし現実は厳しい。欧州の代表的な防空システムであるSAMP/Tとその迎撃ミサイル・アスター30の生産量は限られている。年間の生産量は約200発にとどまり、米国の生産量にも及ばない。短期間での増産は容易ではなく、生産設備の拡充にも人員確保にも時間がかかる。計画と現実の間には大きな隔たりがある。
「400%増強」掲げるNATO…時間が必要
北大西洋条約機構(NATO)では防空能力を400%増強する構想が打ち出されている。目標自体は大きいものの、実行速度は追いついていない。生産基盤の拡大には時間がかかり、直ちに物量を確保できる状況にはない。現場で重要なのは今すぐ使えるミサイルだ。計画より先に現実が突きつけられており、数字は宣言どおりには動いていない。
ミサイル不足が映す同盟の亀裂
今回の事態は単なる軍需上の問題にとどまらない。同盟関係にも影響を及ぼしている。限られた資源をどこに優先投入するのかという選択が避けられなくなり、その過程で各国の対立が浮き彫りになった。共同対応という大義は揺らぎ、国ごとの優先順位の違いが鮮明になっている。戦場での消耗が政治的距離として表れ始めている。
















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